シャープ、米国でテレビ事業再参入 来春、6年ぶりに…… 返り咲くことが良いことかは、もっと先にならないと分からない。
時事通信社の記事である。
北米における家電事業は、今では米国発の企業はほぼ駆逐されている。昔はGE(ゼネラルエレクトリック)や、RCA、Westinghouseなどがあったが、WH辺りはまだライティング関連のブランドは残っているかもしれないが、殆ど駆逐された。そして、今ある米国家電オーディオブランドのJBLなどは、既にSamsungグループだったり……GEの家電事業も中国Haierに食われている。
そのかわりと言っては何だが、日本ではほぼ駆逐されたPC事業は、Dell、HP、HP Enterprise、Appleなど蒼々たる顔ぶれで残っている。日本は、元資本が国内の企業はVAIOぐらいしか残っていない。後はMCJやサードウェーブが頑張らないと難しい。DynabookもSHARPの子会社で台湾の鴻海系だし。FCCLやNECは聯想(Lenovo)である。日本の家電メーカーは本当に阿呆だったことが分かる。
自動車が電動化で同じような波に呑まれないことを願う。
さて本題である。SHARPが米国でテレビ販売に再び乗り出すようだ。多分、先日発表した新型のMiniLEDを使ったAQUOS XLED(これは鴻海グループのイノラックスの技術)を中心として売り込むつもりだろう。あっちには鴻海の工場もあるため、足場は十分にある。ただ、利益を出せるかはなかなか難しい。だから、AQUOSブランドをハイセンスから戻したのだろう。
ROKUと組むと書いているが、この記事の問題点はまるでROKUがSHARPと独占契約するかのような内容であることにある。そもそも、ROKUは現在、ハイセンス、TCLなどにもミドルウェアを供給している。そして、SHARPは北米でこそ自社販売から撤退していたが、これまでもROKUの技術を利用してきた。以下は、2019年のWSJの記事である。
では、何故今再参入なのかというと、単純にハイセンスでのブランド供給がこれまで続いていた中で、黒字を出していたからだと思われる。
そこに、SHARPとして参入しても利益が出るとわかっているから再参入するわけだ。尚、ハイセンスがこの先テレビ事業で離れていくのかは分からないが、既に北米でのテレビ事業自体に成長性といううま味が薄くなっており、中国資本というもののイメージも一緒に下がっているからと考えることも出来る。
後は、期待通りより高い売上げを出せるかどうかだけだが……。コロナ渦ではテレビなどが売れたと言われる中で、それがコロナ後も続くかどうかだけが、心配な点だろう。
この参入にしてもあくまで始まりであり、成功するかどうかはこれからの話だ。上手く行けば良いが、コロナ後は、巣ごもりで売れたものが、売れにくくなる傾向が既に出てきている。さらに、一気に環境などの政策が強化される時代になるわけで、光熱費などの上昇もこのまま高止まることまで予想され始めている。果たして、テレビがこれからも一定のサイクルで売れるかどうか、なかなか先は読めない。