Xe LP採用ビデオカード「DG1-4G」スペック公開。対応マザボは2種類限定……GPUというより汎用アクセラレータ扱いかな。

PC Watchの記事である。


外部カードとしてASUSが出荷をアナウンスしていたIntel GPU製品の仕様が判明したようだ。そして、その仕様にハードウェア限定が掛かっていることも分かったようだ。世間で言えばいわゆる糞仕様である。まあ、それも仕方が無いのかもしれないが、今各国の半導体製造ラインがもたついている中では、今出さないといけない製品なのかというのはある。この製品はIntelの10nm製造ライン(イスラエルまたはアリゾナ)で製造されているが、自動車用のASICやnVIDIAのGPUなどが不足する中では、嫌味を言われる製品になってもおかしくはないだろう。まあ、Intelで作っている以上文句を言われる話でもないが、TSMCで作っていると思い込んでいる人もいるだろうから。

尚、Intel GPUで外部委託しているのは、同社が米国政府から時期HPC用に供給する契約を結んだPonte Vecchioである。これは、納入期日が決まっているため、Intelのラインが準備されるまで待つ時間が早い段階で無くなった。そのため、外部委託が先行して行われたのだ。これは、TSMCのN6 Process (6nm)で製造される見込みである。ちなみに、当初予定ではInteの7nm FinFET/EUVLのEarly Node(先行/初期ノード)で製造される計画であった。

閑話休題。

元々この製品は、Tiger Lakeに搭載されているXe-LP GPUにIOを搭載して外に抜き出しただけの製品だ。IO部もTiger Lakeのそれを流用しているのか、LPDDR4X(4.3 Gbps)であるのも特徴だ。他のGPUだと、1パス(クロック)で入出力の両方を行えるGDDRの高クロック版を使うが、パフォーマンスが上がる分、発熱なども大きくなる。そういう点では、この製品は異色と言える。

動作するEU数が最大の96(MAX)ではなく、80に制限されている以外は、MAXとあまり大差ない。PCIeのリンクレーンが4であるののも、MAXと同じだ。
この仕様でカードを出したのは、Xe-HPとは別物だからだろう。多分、Xe-LPは同社のiGPUに対して補助する役割を求めた製品だと思われる。実際に、Xe-LPの発表では、内蔵と外付けのXe-LPがDL/ML/HPC/HW Enc&Dec)で連携し高速化出来る様を示していた。肝心の描画の連動は初期段階(今後アップデート対応の予定も今のところない)では出来ないことが示されていたが、機械学習や高度なコンピューティング、エンコードやデコードなどの処理が高速化する様を見せていたことから、狙いは単体のGPUとしての価値より、同社のiGPUとセットにしたときのトータル性能の向上にあったのであろうことは予想できる。

ちなみに、これゲーミングに使うには期待されている性能があまり高くないことが既に分かっている。殆どTigerLakeの内蔵GPUと差が無いのだ。
だから、出荷数量がどれほど確保されているのか分からないが、その数量を規定の範囲売り切るには(それほど大量に出回らない可能性が高い)、用途をある程度定めておきたかったのかも知れない。ゲーミングよりも、情報通信や映像処理などの分野でそれなりに良い性能を発揮し、且つ、省エネルギーなのを売りにすれば、ビジネスではそこそこ売れるだろうし。

そうすれば、高付加価値にしたいであろうXe-HPとの差別化も出来る。

尚、Intelは今週中にXe-HPと呼ばれる本命GPUの発表を予定していると噂されている。こちらでは、Ray Tracingも予定ではサポートされるはずであり、EU数はXe LPの数倍に増えるため、理論上の演算性能は猛烈に上がる見込みである。このXe-HPまで制限があるなら、Xeの評価が一気に低下し、準備不足や不出来と揶揄されるかもしれない。

まあ、そんな状況はないと思うが、本命のXe-HPがnVIDIAやAMDの品不足に合わせて大量に出回り、価格も比較的安価であれば、最初のレビューが出て数週間以内に爆発的なヒットを飛ばすこともあるかもしれない。出来ればそうなってくれるのが好ましい。まあ、初期はAMDに対応しないとかそういう可能性もないとは言えないのが、Intelである。その時は740/752のデジャヴと言われるかもしれない。

どちらにしても、Xe-HPやHPEが発表されなければ、本格的なゲーミングに使えるかどうかは分からない。



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