排水弁閉め忘れ…水道代600万円 県職員が半額支払い …… 普通は対象職員と上長に処分や注意が下るけれど。
朝日新聞社の記事である。
閉め忘れた人間が何らかの処分や注意をされるのは当然と言えば当然だが、内容を読む限りでは組織の常識的に解せない話だ。
自分の住む自治体ではないので、あまり踏み込んでとは思わないが……これが処分の内容であるならば、どういう処分辞令が下ったのかを知りたくなる話ではある。参考までにという点で。
<ただ、自腹を切るのは組織の発展性が弱くなる>
人は間違いをするものである。だから、繰り返し過ちを行ったのでなければ、ある程度は許される必要もあるだろう。但し、今回のように金額が極端に大きく被害が1人で被れるものから外れているなら、普通は、社内処分規定に照らして、本人と監督者の最低2名から3名を口頭注意~懲戒(解雇とは限らない)の処分で処理し、ペナルティーを付けることになる。何より、弁済で終わることはないし、弁済を求めるなら処分の後だろう。そもそも、これだと個人弁済対象にすべきかも気になる点だ。
給与や賞与に対する減給処理を数ヶ月ぐらい加算すれば、最終的に600万円ぐらいの当該職員の所得を抑えることが出来る。特に、内規罰(処分)をすると、今後のベースアップや、職位に対してマイナスが付くため、最終的にそれで相殺するのが一般的だ。
何故、本人に300万円を払わせることになったのか?記事を見る限りでは監査の結果そうなったようだが……これは、社会通念上の組織管理としては、一番やってはいけない対処だと、私は思うわけだ。
<この数年で中長期の考えがなくなった日本>
この記事の内容でも思うのだが、半額払ったとか、全額弁済したからOKというのは正しい行いではない。
例えば、その人に限らず組織で40年働く人がその期間において何も問題を起こさなければ必ず給与所得として2億は稼ぐとしよう。
その場合、600万円分の損失を顧客に対して起こすような事態を起こせば、その生涯所得が、600万は確実に減るような対応をすることで、相殺するというのが、昔からの処分の仕方だった。もちろん、平均的な稼ぎより遙かに大きな10億とか出している人なら(公務員ではそれはないが)、今回は許すよというケースもあるかも知れないが、代わりに誰かが上や周りを説得して被ることになる。実際に相手側に説明して本人も含めて謝罪して回ることにはなるだろう。
その上で、次にやらかせば、それも含めた処分をするから厳しいよという話になるわけだ。
しかし、今回はそうじゃないようだ。これは、公務員の常識とも違うようにも思うが……(私が知る限りでは、私が共に働いたことがある公務員でミスを犯した場合は、ちゃんと処分が下っていた)まあ、政府とかオリンピックでも、発言を撤回すればOKみたいな国なので、金でも戻すならまだマシなレベルになってしまったが、本来はミスを犯したらそれ相応のお金で返せば許されるわけではない。考えて見ると分かるだろう。
600万円のミスに対して、300万払った人は、年収幾らで働いているのかという点で、その人に掛かるペナルティが変わるためだ。
例えば年収が1200万の人が300万の貯蓄を切り崩して支払うなら、所得十分にある訳で、余裕だったと言える。
一方で信任の人で250万の所得しかないのに、家族などに借金してまで300万を弁済したなら、それはやり過ぎになる。そんな所得が低い人間だと立場もそれほど大きくないはずなのに、上司はそんな人に任せて何していたのかという話になってもおかしくないはずだ。
即ち、本人に課せられる処分(弁済)の重さが所得で変わる訳で、前者の場合はたぶん本人から見てまだ軽い方だろう。そして、そういう人はもっと小さなことでミスを繰り返している可能性だってある。後者の人だと、これから育つ真面目な人でも下手すればもう離職する恐れすらある。とても真面目な労働者なら、公務員でも、弁済を300万も求められた組織で仕事を続けることは厳しいかもしれない。体を壊したり心を病む可能性もある。
だから、本来のクリーンな組織は金や物で弁済すればそれで終わりには決してならない。それを追加で求めることは確かにあるが、先に必要な処分や注意などを行った上でやるべきことになる。場合によっては、弁済はせずに本人の立場を落としたり、所得を恒久的または期間限定で抑えることで、結果として弁済相当にすることだって方法としてはある。
もちろん、何億とかで払えないとか、法的にどう考えても違法行為を犯したなら別だが……。
たいていの場合は組織側で弁済する代わりに、それ相応の処分を労働者と必要に応じて上司などに求めることになる。
そして、数年後ぐらいに結果的に、その弁済分の価値を償却するわけだ。
これが、本当の意味で組織を正しく健全な状態で保持し、間違いを減らす方法に繋がるだろう。
まあ、現実派何となくだが、そんなに大事にするつもりはなかったけど、本来は処分を下すべき時期にそれをせずに、時間が経過した後で、監査で引っかかったから本人に出させざる終えなくなったように見える。
まあ、今回はもう処分相当の処理が行われているわけで、今更どうにかすべきとは思わない。そもそも、私の住む自治体じゃないし……。
ただ、今後のことも考えると、こういうケースが起きた場合に、処分の規定をある程度しっかり考えて置いた方が兵庫県にとっては良いだろう。本人に弁済させることが大事なんじゃない。組織の体制として、より公平性があり、誰でも同じ水準で反省できるミスに対する是正体制と、間違いや誤りを周りがカバーできる体制作りが求められるのだ。その責任は決して1人にあるのではないのだから。
そういう部分をちゃんとクリアしていかないと、遠い将来にオリンピック組織委員会のようなヘンテコな組織になるかもしれない。
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