フォルダブルの次は「ローラブル」…… コロナ前なら良かったかもしれないが……今の世で必要なのは災害、医療など命に関わるもの。
ITmediaの記事である。
フォルダブルスマホの需要は、コロナが無ければもう少し違ったかも知れない。実際に複数の企業が開発をしていた形跡があったからだ。しかし、今現在開発している企業は、かなり減っていると思われる。理由は、結局フォルダブルのような製品は価格が高いからだ。世界がコロナの終熄に失敗したことで起きた景気の後退で、この需要は萎んだ。
しかも、販売契機となるイベントが減ることで、熱狂的に現地取材をする記者もいなくなる。オンラインでは流石に興奮して歓声を上げる人が希にいたとしても、それが伝播することはない。サクラを仕込んで、燃え上がった風に見せることも出来ない。
何より問題なのは、初代はともかくとしてその後の製品におけるフォルダブルの在り方にも疑問符がついていることも影響している。
畳んでコンパクトどころか、ただ厚くなるだけで、縦の長さや横幅は期待ほど小さくなっていない。
さらに、畳める機構分バッテリ容量が減るものまであり……蝶番(ちょうつがい)の部分もディスプレイにしているから、耐久性の心配も燻る。これは、テスター向けのFoldやMate Xの信頼性情報の悪さが影響している。
そういう部分が、イベント(新機種情報が出回る発表会)の中止から、冷静に見つめられるようになり、萎んだ部分もある。
そんな中で、次はローラブルに挑戦という話だ。ディスプレイを2層にしているのか内側に巻いて収納されているディスプレイを引き出す機構のようだ。
昔携帯でスライド携帯があったが……あれは、折りたたみに比べて売れなかったのを考えると、どうなんだろうか?
世界の現実は、スマホにおいて中国や韓国メーカーが望んだようには動いていない。
そもそも、スマホは携帯デバイスとして必需品にはなったが、持ち運ぶため落下や盗難などによる被害(故障、紛失)も多い。トラブルの原因になることもある。
だから、20万とか30万とかするような高いスマホを望む人は、以前から少数だった。
ただ、将来的にそれが世界の企業が出てきて低価格になっていくだろうという予測があり、高い物もある程度売れていた訳だ。要は誰もが使う未来の先取りに見えれば、新しいものが好きなマニアが買ってくれるという訳だ。そして、それが良い物だと評価されているなら、徐々に下にも下りてくると言うわけだ。
しかし、フォルダブル系に関しては、それが始まる前にコロナがやってきて、開発したメーカーが少数に留まった。一部のメーカーは事実上中止や開発凍結している企業もあるほどに、大きな潮流の変化が起きているのだ。
今回のコロナはスマホの将来像にも明らかな変容を与えている。
携帯をもって外に出かけて、出先や移動中に携帯をいじって遊んだり動画を見ることは減っている人が多いはずだ。
基本的に、家の中でパソコンを使って仕事をして、携帯でも通話、通信という連絡手段の一つとして使うことの方が今年は多いだろう。これからも、コロナ下という言葉が続く限りは、この影響が少なからず残ると思われる。
もちろん暇つぶしの一つとして携帯は今でも使われるが、大画面などを求めるなら、携帯を使わなくても良い環境がある場所で生活する人が増えた。携帯電話が大画面である必要がなくなったのだ。だって、家の中にはもっと大画面のデバイスがあるのだから、大画面を求めるならそっちを使えば良い。場合によっては、スマホからスクリーンミラーリング出来るテレビやHDMI接続のデバイスも存在する。
最も厳しいのは、失業者も増えている所得も世界で下がり始めている中で、治安も世界的に悪化している。
そんな状況で、高価なスマホを買って持ち歩き、外で使うのか?という考えも出てくる地域もあることだろう。
今はその状況にある。
そこで、スマホ向けにこういう技術を使っても、投資に見合わなくなる。
Samsungの場合は第二四半期だけで見れば、DRAM、NANDなどのメモリーデバイスや、白物家電もあるので、そこでカバーは出来るだろうが、あまり続けて、景気が回復すれば戻ると思っていると、日本の家電メーカーのようになる可能性もあるだろう。
と、考えると空回り気味にも見える。
スマホで使う前提の技術は他にも使える可能性があるので、全く無駄ではないと思うが、スマホを高価格にしてまで、これを普及させようとするのは、暫くは難しいだろう。
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