5G時代の「iPhone 12」発表…… ミリ波非対応を嘆く人もいるけれど……
ネットではケータイ関連やPC関連の出版社全般が大々的に記事を書いているが、iPhone12シリーズが発表された。
iPhoneも以前はカラバリぐらいしかなかったが、今では1度に発表されるバリエーションが増えた。
今回は、2ライン4モデルになる。
いわゆるPro系とスタンダード系にグループが分かれる。
最上位(エンスージアスト)の12 Pro Max、ハイエンドの12 Proが、Pro系である。
ステンレス金属の美しいつや消し筐体と、3眼のカメラとLiDAR(光/レーザー測距)対応。RAW撮影サポートなどのサポートがあるのがProである。
12、12より小型なMiniはスタンダードになる。カメラは2眼である。
いずれも共通の仕様として、
Apple A14 Bionic SoC、
Ceramic Shield(Corning Gorilla Glass)
Dolby Vision HDR撮影サポート、
5G商用無線サポート、
MagSafe-Wireless charge(Qi対応)
などが含まれる。
iPhone側の端子は、Lightningのままで、USB Type-Cにはなっていない。
但し、付属のケーブルはLightning-USB-Cとなっている。個人的には電源の受け口の方をType-Cにし、電源の送り口はType-Aのままでも良いと思うが……この辺りの考え方は、Appleのタブレットやコンピュータとの接続などが影響しているのだろう。
しかし、今回の発表ではあまり報道での熱狂はないようだ。
これは、多分だがAppleのCMが減ったことも影響しているのだろう。むしろ、日本国内のスマホを作っていたメーカーを冷遇しすぎて、Apple天国になり、CMも以前ほどやらなくても変わらない状況になってからやり過ぎたと報道も気が付いた可能性はある。
SNSでの反応も、さらに今年は減っている。今となってはスマホに毎年金を出す人は殆どいないだろうし、今は割賦による購入でも、一括でも販売奨励金は殆どないため、買替えサイクルは伸び年間の買替え率も減っている。1台を長く使う人が多くなった訳だ。それに、低容量の機種でも、Appleのスマホは初期投資が少し高い傾向があり、使い方によってはAndroidでも十分という雰囲気も以前よりは若干強くなっている。まあ、Androidは総じてデカい機種が多いのがネックだろう。
そういう点もあるので、小型に力を入れ始めているのだろう。
ちなみに、5G対応ということで、期待とはちがったという話もあるので、そのことも書いておこうと思う。
<ミリ波非対応の5Gでという記事もあるけれど……ミリ波など……>
以下のITmediaの記事がそうだが、これが特別残念な仕様というわけでは無いことは書いておく。
5Gのn257帯域はまだ日本では運用されていないため、ミリ波対応しないのは当たり前である。基地局が既にいくつも運用認可(試験運用)されていれば、そのタイミングに合わせて、対応モデムとアンテナを内蔵した製品における技適の申請が通るだろうが、運用されていないから、対応機材も投入できない。この帯域は携帯では新規周波数になるため、室内テストはともかく、フィールドテストがある程度行われている必要があるが、それがまだ出来ていないはずだ。
だから、対応しないどころか出来ないわけだ。フィールドテストが出来ているなら、後々アップデートで対応出来るアンテナを内蔵するだろうが、たぶんそこまでいっていないだろう。というか、日本ではその準備までしても、データ通信のコストの問題があって、バッテリーの持続時間などの方が評価される傾向が強いため、今はまだ載せない方が良いと判断している可能性も高い。(将来的には地域5Gなどがスタートすれば価値はあるだろうが……)
尚、日本の4つの携帯会社に割り当てられている周波数は以下の通りである。
一応書いておくと4GベースのFDD方式も基地局とスマホが対応していれば5G NRをサポート出来る。
日本では、5G=高周波数と考えている記事も一時期出ていたが、それは大きな間違いである。
5G NRでは4Gの周波数帯の低遅延も盛り込んでいるからだ。5G対応のモデム(端末/スマホ・ルータ側)がDSS(Dynamic spectrum sharing)対応で、DSS対応の基地局と通信できれば、5Gの恩恵はあるわけだ。
本当のところを言えば、これが一番利用者にとって身近で価値がある通信かもしれない。
Sub-6(C-band)やミリ波(LMDS)は全国全ての場所で使えるようには多分ならないだろうから……。
特に、今回日本では対応しないとされたミリ波と呼ばれるLMDS帯域は、C-bandと比べて設備投資する側にとっても、利用者にとって恩恵が受けられるシーンが少ない。何故なのかというと、LMDSは周波数が高いため、回り込み(反射や壁を突き抜け)して届ける能力がC-bandよりさらに低いからだ。
1つの基地局で電波が届く範囲は狭くなるから、もしもこれで3Gや4G並に人口カバー率を達成するなら基地局が桁外れな数必要になる。
その代わり十分な電波強度で繋がれば通信速度は桁外れに高速化する訳だが、帯域が増すということは演算や電波制御に必要な処理等も増えるため、通信時や待機時の消費電力は増す。
では、そんな極端な電波規格が何の役に立つのかというと、リアルタイムでエッジクラウドなどと大量のセンサー情報を連携させ、車両を自動で運転するといった場合に価値がある。また、工場の機械制御やMR/ARのような技術を使った管理、リモート操作には価値があるだろう。
即ちどちらかと言えば、決まった工場やオフィスなどの場所、ある程度定められた沿線ルート(例えば高速道路や主要道)での利用などで価値が見いだせるかもしれない訳だ。しかし、今対応エリアがあって、それをスマホで搭載しても、C-BandよりもLMDSで通信をした時にはさバッテリーの消費が大きくなるため、本当に使う目的が業務なり、遊びなりで確立していないと、速度は早くても、そのモードで繋がっているだけでもバッテリーが以前より減るというデメリットの方が早く、期待が萎むだけという恐れもあるのだ。
ちなみに、接続エリアでなければ、使わない無線のアンテナとモデム機能はパワーダウンするようになっているがLMDSとC-Bandで制御が一体で、5G有効だとLMDS非対応でも馬鹿食いし続けるのか、分離していて、どちらかを使わないなら一方はダウンし節電できるのかという部分は、モデム本体やファームウェア等の仕様によるだろう。そういう部分は、製品が登場してこないと分からない。
<何故米国では採用したのか?>
ちなみに、米国では対応しているのは、実際には米国に限ったことでは無いが、他国は4G/3G/2Gの電波対応エリアが国土の割に狭いのだ。単位距離辺りの基地局の密集率も日本ほど多重カバーできるほど完璧(密集して速度が落ちないように調整されたもの)ではない。いずれかの周波数を何とかギリギリ掴むが、速度はさほどなく、なんてのは当たり前に存在する訳だ。その中で、先進的なフィールドテストをするとしたらどうするかということだ。即ち、それに最適な技術の開発をするために一部で最先端を入れるという姿勢が今の米国などの国だ。
それだけのことだ。
日本はそれとは違って、いわゆるどこでも誰でも一定の速度で繋がることを求めている傾向があり、それらが(接続人口密度のバランスを計算した上で)全国一律で高品質に存在する。平均するとインフラの地域格差は殆どなく、4Gでも諸外国における5Gの平均ターゲット速度(最大速度では無く、ユーザーレートの最終目的となる平均値)に近い品質がある場所も既に多く存在しているはずだ。実質で言うと携帯カバー率と国土内平均実効値は世界No1と言ってよい。すると、無理に一部を最先端にするよりも、今ある高品質の中で、フィールド開発や研究が進み、上位規格(5G)になればよりそれが高速化するみたいな雰囲気で研究される。
まあ、昔はその中でも最先端を追っていたが……。キャリアへの圧力も大きい時代にそこまでは出来ない。
だから、対応を急がないわけであり、iPhoneもその準備が出来ていない(急ぐ必要がない)日本では、対応モデルを出さなかったと言える。準備が出来ているなら出したはずだ。
<無難な新型iPhone>
話を戻そう。
今回のiPhoneが特別買いに値しないということはない。サイズによるラインナップも悪くないし、ちゃんと機能や性能を伸ばしているからだ。
iPhoneユーザーがもしも、これはダメだと思うなら、それはこれまでの発表に対して単純に熱狂し過ぎていただけだ。熱狂の魔法が解けるのには個人差や興味の差による影響があるが、今年はイベントがライブ配信になっているため、その影響も大きいだろう。現地レポートで記者同士が会場の熱気に当てられることによる記事の高揚という効果が生まれないからだ。
それが止まったことで、普通の視点で見られるようになったに過ぎない。
進化の傾向は、以前のモデルと比べても、決して悪くないし、以前のモデルで他のと比べて凄い良かったというのは、もう数年お見かけしない。
即ち、iPhone持ちからすれば、無難であり、Android所有者や新規から見れば、デザインとか操作性とか気に入るなら良いんじゃないかなという品だ。
君は欲しいかと私に聞かれると、iPhone 12とminiが5Gでこのサイズというのは、5Gスマホに必要性があると思うなら良いのではないかと思う。
個人的に、5Gを今必要だと思っていないので、欲しいと思わないが、Proに比べると価格も安くこのサイズは魅力的だ。
Proに関しては、iPhone持ちやiPhoneのブランドによほどの価値があると思っていないなら、Androidスマホとしっかり比べてとは言いたい。無難ではあるが、iOSじゃなければいけない理由がない。他と比べた結果、iPhoneだったというならそれで良い。
では、併売される既存(旧機種)のiPhoneシリーズと比べるとどうかというと、やっぱり5Gや新機能をどう思うかだろう。
個人的には、旧機種も値下がりが決まっているものが結構あるので、お得感で選ぶなら1世代前の11とか、現用のSE(2世代)の方が良い。
先進性や最低でもこれまでのモデルよりOSアップデートが1年程度長くなることが予想される点が魅力と思うなら、5G対応のこれがベストだろう。あとは、製品が出た後にバッテリの実持続時間や使い勝手の情報も出てくるだろうから、それを見極めて評価するのが良い。
尚、今年はこれまでの年とは違って、一つだけこの手の製品を買う中で注意すべき点がある。
それは、特にPro MAXや大容量モデルでは人に見せびらかすような真似は、自粛した方がよいかもしれない。それには気を付けろということだ。容量上位の品を買っても、価格が分かる容量の話はなるべく避けた方が良いかも知れない。
経済情勢は決して良い状況ではないので、グレードが高い品ほど、人に無駄に見せびらかしたり、金額が分かるような話を出すと、それが事件などに巻き込まれる原因となる可能性もある。不景気の時は、そういう心配があるのだ。だから、極端に恐れて誰にも見えないようにこそこそ隠す必要はないが、端に他人に自分から見せたりはしない方が良い。iPhoneなどのスマホでそこまで話す人はもうあまりいないと思うが(事実上借金の割賦や返却リース型で買うことも出来るので、それがステータスという時代でもない)……一応そこには注意が必要である。

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