5nmプロセス向け。性能が2割向上したArm「Cortex-A78」…… ついに出てきたAの上。

PC Watchの記事である。毎年この時期にはArmの新IPが発表されるが、今年もA78が発表された。今年はCortex-Xも発表され、さらに上位のIPカスタマイズ版を供給できるようになったようだ。Appleが来年投入予定のPC向けAコアがこれになる可能性が高い。


まあ、既にAndroidやiOSなどのMobileOSとアプリを扱うだけなら、CPUの性能など何でも良いというのが現実である。
実際に、A75以降になると、最大クロック時の発熱と消費電力が徒となることが多く、筐体の小型化が難しくなったているからだ。実際にそれはスマホの大型化という点ではっきり見えており、これはCPUだけが原因では無くGPUの問題も往々にしてあるが、バッテリーの容量も増やさないと待受時間が短くなるという問題が数年前から出てきている。

その割に、CPUだけに関して言えば、それほどその性能を求めるアプリが多い訳では無い。だから、宝の持ち腐れ状態になりつつある。

しかし、それでも性能を引き上げるのは、IntelやAMDのx86(x86-64)の持つサーバー/ワークステーション/PCの3つの市場をそろそろ食べたいからだろう。もう、ArmのIP需要が行き渡っていないのは、この領域にしかないのが。簡単に言えば、ライセンスで市場利益をさらに伸ばし稼ぐにはx86の市場を取らないと先はないということである。

そこで、X Customを本格的に売り出すことにしたのだろう。上手くすればAシリーズへの落とし込みも早まり、現在Big.Little 2コアでx86系1コア相当の性能を大幅に上げつつ、より省エネルギーな製品が次々出てくるかもしれない。この更に上のブランドは出すべきと唱えていたが、ついにという感じだ。これは、Windows On ARMでx86-64のアプリ動作をさせるためにもAppleやQualcommが望む拡張をするためのものかもしれない。
ちなみに、多分今のArm系コアではx86-64のアプリケーションをエミュレートしても8割も性能を出せない恐れがある。32bitでも互換動作はかなり遅い。だから、Armの拡張から外れた拡張が必要になるのは間違いなく、本気でx86を狙うなら、少なくともAC電源供給時ぐらいはCortex-Xベースでx86-64に近づく拡張を付けるのがベストだろう。


<GPUは更にクラスター数を増やせるように……>

Mali-GPUはG77の最大16クラスター数から24クラスターまで再び増加させている。これはG72の10nmでMP32までサポートして以来3年ぶりの増加になる。改良が少ないため、5nmならば24までいけるようになり、性能も大して上がらないから最大24にしたのかもしれない。

G68はG57と同じ最大6クラスターだが、機能性はG7xに準じているようだ。たぶんG57と同等の性能で消費電力を下げるために、クロックを抑えたG76/77辺りだと考えるべきなのだろうか?


<ML時代の新たなIPブランド>

上記2つの製品はきっとそろそろ頭打ちに入っている。
スマホやタブレットで今あるアプリを使うなら、きっと上記した製品群は特段の必要性がないという人が多く、これらの製品を必要とするとか、敢えて選ぶ人は、きっとそれなりに性能を求める人か、そういう開発をする人になるはずだ。
既に顧客も殆ど固定されており、これ以上大きな伸び率は得られないだろう。そうなると、次の主軸が必要だ。

それが、ML/DL(Machine Learning/Deep Learning)用のブランドだ。
元々昨年ML Processor(Machine Learning Processor)と呼ばれていた製品に、Ethosというブランドを付けた形だと思われる。それの後継がN78となるわけだ。

まあ、QualcommはNPU/NPEを自社で持っており、MediaTekやHiSiliconもMLが登場する前からこれらの技術を開発していたが、安価で高効率に動作するなら、これらのメーカーもN78をベースに名称だけオリジナルの名称を付けて置き換えていくこともあるかもしれない。
今後は、安価なハードでもML/DLは本格的にNPUで行う時代へと変わっていくことを示す切っ掛けとなるのが、これかもしれない。


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