Amazon Fire HD 8(2020)モデルはQi/PMA対応(Plusのみ)でUSB Type-C端子に刷新。 Fire HD 8(2018)、Fire HD 10(2019)SoC/CPU比較表。
PC Watchの記事である。Amazonが新型タブレットを昨日夜(日本時間)に発表した。発売は6月3日の予定となっている。
尚、Plusは米国、イギリス、日本、ドイツで先行販売され、他の地域では発表時点では未定である。
スペックは以下の通りである。
世代 | 10世代Fire HD 8(2020) | 8世代Fire HD 8(2018) | 9世代Fire HD 10(2019) |
寸法 | 202 x 137 x 9.7mm | 214×128×9.7mm | 262 x 159 x 9.8mm |
SoC | MediaTek MT8168 | MediaTek MT8163V/B | MediaTek MT8183 |
CPU | Cortex-A53×4 Up to 2.0GHz - - | Cortex-A53×4 Up to 1.3GHz - - | Cortex-A73×4 Up to 2.0GHz Cortex-A53 Up to 2.0GHz |
RAM | 2GB/3GB(Plusのみ) | 1.5GB | 2GB |
GPU型式 GPU開発名 FireHD利用のAPI世代 | Mali-G52 3EE MC1 Bifrost 2.0 Open GL ES 3.2 | Mali-T720 MP2 Midgard 3.0 Open GL ES3.1 | Mali-G72 MP3 Bifrost 2.0 Open GL ES 3.2 |
Display | 8インチ IPS 1280×800 5ポイント 1000:1 400㏅/㎡ | 8インチ IPS 1820×800 10ポイント 700:1 350㏅/㎡ | 10.1インチ IPS 1920×1080 5ポイント - - |
ストレージ | 32GB/64GB | 16GB/32GB | 32GB/64GB |
無線LAN(Wi-Fi) | IEEE802.11a/b/g/n/ac Wi-Fi 5 | IEE802.11a/b/g/n Wi-Fi 4 | IEEE802.11a/b/g/n/ac Wi-Fi 5 |
Bluetooth | 5.0LE | 4.1LE | 4.2LE |
カメラ | フロントリアとも2MP オートフォーカスなし | フロントリアとも2MP オートフォーカスなし | フロントリアとも2MP オートフォーカスなし |
初期OS | Fire OS 7 (Android 9,API 28) ABI 32bit | Fire OS 6 (Android 7.1 API 25) ABI 32bit | Fire OS 7 (Android 9,API 28) ABI 32bit |
最新OS | - | - | - |
SDカードスロット | MicroSD (Up to 1TB) | MicroSD (Up to 400GB) | MicroSD (Up to 512GB) |
インターフェース HDMI USB オーディオジャック | - なし 2.0 Type-C 3.5mm Stereo | - なし 2.0 MicroUSB 3.5mm Stereo | - なし 2.0 Type-C 3.5mm Stereo |
バッテリー持続時間 | 12時間 | 10時間 | 12時間 |
非接触充電 (ワイヤレス充電) | Qi対応(Plusのみ) | - | - |
上記のスペックを見る限りでは、搭載されるMediaTek MT8168 SoCの性能は昨年登場した10.1インチのFire HD 10 のMT8183の8コアより下回るため、Fire HD 10の方が圧倒的に高性能と言える。但し、メモリー容量において3GBと10世代Fire HDが50%上回ったこと、ディスプレイ解像度が1280×800ドットと低いことで、全体の平均動作においては、Fire HD 8の2020年モデルの方が良い可能性もある。
もちろん、CPUの処理能力が必要な用途で使うなら、Fire HD 10の方が良いだろう。ただ、たぶんそういう汎用作業で性能差が大きく分かるほど持続的(長時間)に処理する用途そのものがFire HDに供給されているアプリの場合は多くないと思われるので、8の方が総じて良いと推定される。尚、Fire HD 10の2019年モデル所有者がわざわざ8を買う理由があるほどかと問われると、そこまでは「ない」だろう。昨年販売開始され今も併売中の10を利用している利用者が8に移るほどの魅力があるわけでもない。それ以前のモデルなら、ディスプレイ解像度や大きさが小さくなってもよいなら、価値はあると考えて良い。
尚、Fire HD 8の旧モデルと新モデルではディスプレイのマルチタッチ機能が10ポイントから5ポイントに落とされているが、これはFire HDで近年行われている調整である。10ポイント(両手で触れるような操作)を使うアプリはほぼないため、片手の5ポイントに縮小されている訳だ。カメラも全て2MPまで落ちてきたのは、Fire HDで高解像度撮影する用途がないからである。
基本セルラー通信(LTEや5Gでの契約通信)を使うことが出来ないこのFire HDシリーズは、2MPあれば十分というわけだ。その分、お値段は圧倒的に安い。まあ、スマホとは別に使うタブレットというデバイスを考えると、このFireのやり方は理に適っていると言える。これで、もう少しGPUやCPUを底上げして、AOSP対応にすれば最高なのだが、これを超えるとOSの保守サポートも含めて、お値段が大きく上がる可能性も否定できない。
だから、Fire OSなのだと思われる。
ABI 32bitに縛っているのもそういう理由だろう。尚、Androidは既にABIを64bit(Android 10では基本それが前提となった)にしないとGoogle Playに登録出来ないという状況にあるため、基本的に設計がそれと互換するFire OSも近い将来開発環境もそちらへと移行していくだろう。そうしないと、Android系のアプリを簡単にFire対応させるのが困難になると予想されるからだ、ベースOSはAndroid故にAndroid側が32bit互換バイナリーを徐々に排除し始めると、その影響が直接出てしまう。あくまでAOSPに参加していないというだけで元はAndroidなのだから。(ちなみに、Google Play対応はしないので注意。別途対応するrootツールも非公式で存在するが、セキュリティを考えるなら使わない方が得策である)
メモリーが3GBになったこのFire HD 8は将来のそれへの対応を見越しているのかもしれないが、果たしてAndroid 10以降の世代への更新し、ABI 64に更新する日が来るのかは、分からない。そこだけが、近い将来ABI 64に移行するならば少し心配な点だ。
それでも、お値段が圧倒的に安く、あくまでAmazon PrimeやKindle、その他動画サービスなど、Web閲覧の道具(ツール)として考えるなら、この機種が対応しなくても、1年2年後買い換える出費もそれほど掛からないのがメリットだろう。iPadのような何でもサクサク熟すものではないが、視聴と閲覧、軽い文書(メールやSNS入力など)に限るならこの機種もまた良い相棒になるだろう。
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