行き場失う農産物、新型コロナで世界の食糧流通網寸断 …… 実は日本でもこれほどではないが起きている。
ロイター通信社の記事である。この記事にある輸送人材の不足や、収穫作業員の不足、輸送ルートの閉鎖による食料流通の先細りは、日本でも一部の地域農家で、アジアからの農業研修生の受け入れが停止したことで起きている。
それは以下の記事を読めば分かるだろう。
今のところ喫緊で日本がこれによって厳しくなることはないが、もしもSARS-CoV-2ウィルスの感染が1年2年と続き、経済封鎖が世界的に1年2年と断続的に続けば、食料難が起きる可能性は全く無いとは言えない。だから、その可能性を早くから考慮しておくことは大事で、特に生鮮食料については、今弱っているサプライチェーンの問題にもう一つ豪雨災害など自然災害が夏に重なれば、黄色信号から赤信号へと変わる可能性もあるのだ。
尚、これが起きた場合に、今貯蓄している食料があればという話ではない。ここでいう食料流通の寸断や先細り、災害などのパンチによって崩れる食料流通網の影響は、喫緊の非常事態宣言によって生じるものではなく、最低でもこの秋以降の話であり、現実には1年後や2年度に掛けて起きるかもしれない問題ということになる。
だから、国内での食料生産回帰をこの1年2年の間は目指すのが妥当ということを述べる国は多い。特に欧州は……既にそういう対応を始めている地域もある。日本も実際にはそういう視点が今必要かも知れないと動いている政治家がいてもよいはずだが、今そういう雰囲気はないのが、痛いところだ。
<大量生産、大量消費の果ての危機>
効率の高い地域で大量に生産し大量に消費する。これは、人類が発展する中で徐々に見いだしてきた社会構造の果てであり、19世紀~20世紀に確立された産業革命によって作られた社会の集大成である。大量に生産すれば効率よく安く提供できるからだ。しかし、その結果、バリエーション豊かに様々なものを作る中小のメーカーは減り、企業は1つの商品開発へと専業や分業という仕組みが進んだ。これは、農業でもそうだ。
ネギ専用の農家はネギを中心に大量生産するのだ。するとネギ以外の野菜は、場合によって市場から買うことになるかもしれない。農家だから全ての野菜がある訳では無いということになる。
それが、今回のロックダウンや日本の自粛、世界からの人の移動制限などにはっきりと打撃を与えたというわけだ。
大量生産大量消費の中で行く末がこれであり、経済面で世界は既に運命共同体だったということでもある。
ここから見えるのは、今のまま長期間、このコロナ対応による地域別での経済活動や社会活動の断続的な停止、再開が進めば、世界はあらゆる面で不味い状況にあるということだ。
世界が自らで築き上げた豊かな社会を作り出すための仕組みを、感染症の対応のためとは行っても、それぞれの国が別々に止めてしまっていること、さらに、それでも感染を食い止められないという状況が続いていることで、まるで接触不良で壊れかけの電気配線のように繋がったり、切れたりを繰り替えする状況になり、余るもの足りないものが増加していくのだから。
この先これがどれほどの期間影響を与えるのかは分からないが長引けば、産業機械だけではなく食料品や衣料品、今必要とされる医薬衛生材にも影響を与えるかも知れない状況も有り得るだろう。
これが起きぬようにするには、ある程度世界が1つに纏まって同時に対応する事も必要だ。私利私欲ではなく、世界全体として国家同士の連携も大事である
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