NECパーソナルコンピュータ、2020春モデルを発表。~反転にはまだ遠いかな~
ITmediaとPC Watchの記事である。一斉発表なので数が多いが、中身は大したことが無い。と辛口になってしまうのはいつもの通りだ。だって、スペック”だけ”で見ると全体的に酷いから仕方がない。
SoundVu再びみたいなデスクトップと、PCと4KなOLEDで、Adobe Creative Cloud フォトの1年ライセンスを添付する大した売りのないパソコンと、たわいもないジュニアコンピュータと、いつもの通りのAndroidタブレットである。今回のAndroidは最低でも2年ぐらいアップグレード出来るのだろうか?
<デスクトップのディスプレイ立体音響はこれが初めてじゃない>
何と言うべきか、まずディスプレイ立体音響はこれが初めてではない。その昔、NECが自社でディスプレイ製造も手がけていた頃に、Sound Vuを採用したPCが存在した。しかも、当時のNECのこの製品群は、意欲的な製品で、スペック表を見れば分かるが、水冷モデルもあったほどだ。ただ、当時と違うのは、ツイーターを2ch分追加している点だろう。
まあ、一体型になったことで進化したとも言えるが、搭載プロセッサーは第10世代とは名ばかりのComet Lakeでしかもモバイル用の10510U(4C/8T、1.8GHz、TB-4.9GHz、TDP-15W、cTDP-10-25W)である。実質Skylake MA世代(第6世代)となるわけで、グラフィックスが凄い訳もない。メモリーも標準では16GB搭載モデルがないので、地デジ目的とかでもなければ、選ぶ理由があるとも思えない。
ちなみに、4Kディスプレイモデルもない。まあ、はっきり言ってこのスペックで4Kだと売れないからだろう。デスクトップであることを加味して使おうとすると、今の状態でもiGPUやCPUが貧弱なので、エンターテイメントを見る(作るではない)ぐらいと、ワードエクセル作業に使うなら良いのかも知れない。
<くっくっく、くりえーたーノートLAVIE VEGA>
ただの4K OLEDモデル(15.6型)のあるノートPCだ。CPUがCore i7-9750H(6C/12T、2.6GHz、TB-4.6GHz、TDP-45W、cTDP-35W)になるので、実はデスクトップのLavieより性能は上だったりする。
OptaneメモリーH10が搭載されているが、正直、32GBの3D XPointメモリーを緩衝装置(バッファー)に利用して、1TBのQLCの遅さをカバーする媒体なので、速度が遅くなることはないだろうが、滅茶苦茶凄い製品でも無い。これなら、1TB SSDでNVMe 3.0×4のストレージを1台搭載した方がお得だったりしないか心配である。(それならそっちでTLCのSSDの方が今はまだコストパフォーマンスが高いかも知れない)
コア数は少ないものの、下位モデルのRyzen 7 3750Hの方が3D処理なども伴うならお買い得かもしれない。解像度も低いので3750の方がGPGPUや3D系の処理なら高速だろう。
強みは、Thunderbolt3.0インターフェースの搭載にあるのだろう。Thuderbolt用の外付けPCIeボックスを買えば、GPUなどを外付けできるそれが、唯一のメリットだ。あとはCreative Cloud フォトプランをメリットと感じるかどうかだろう。
ディスプレイのDCI-P3などの評価については、この手のクリエーターノートなら殆どのモデルが99%-100%達成になる。これは、いわゆるOLEDモニターの供給元が限られており、それらのメーカーがPC向けに生産する場合、最初からそれに準じたパラメーターを添付して供給しているからである。調整は各社でも出来るが、100%が売りになるモニターでその対応を敢えてしないということは通常の場合はない。
デザインなどで欲しいと感じたなら買いかも知れないが、敢えてクリエーター向けとして選ぶ機種でもない。VAIOなどの方がまだそれっぽいし、ASUSなどの方が意欲的だ。スタンダードでギミックも少ない製品が良いなら適当な製品かも知れない。
<ファースト世代のモバイル>
富士通に遅れてNECもやってきたジュニアコンピュータである。これの特徴は、2 in 1のタブレット(スタイラスペンも搭載)にもなるという点だ。但し、性能はCeleron Nシリーズに準じるのでファーストというよりオールドタイプである。価格は税込で9万円あればおつりが来るようだ。指紋認証とか搭載されているので、会社などでも使えないことはない品であるが、問題点はストレージがSSD(SATA3-600MB)ではなく、eMMC(HS400だろうと思う)であること、メモリーが4GBしか搭載されていないことの2点だ。
特にこのメモリースペックは流石に厳しいが、NEC-PCの他のPCを見る限り、8GBにすると他とのバランスが取れないからやらなかったのだろう。
まあ、学校などで一括導入するならこういうのもアリかも知れないが、家で使う子供向けとして良いかというと、なかなか微妙な品だ。富士通以上、中古PCや親のPCをスライドする未満ぐらいかな?
残りのノートの方は、特別素晴らしいこともない。オーソドックスなNEC-PCの製品なので、個人的には不可が見られるのだが、最近のNEC-PCの特徴と変わらないので、不可とは言わないことにした。
<タブレットはレノボだね>
最後にタブレットが一気に4機種も登場した。確かに価格を見ると一見安そうだが……。
この会社の一番の問題点は、OSのアップデート保守がここ数年行われていないことにある。今や、安物の他のメーカーでも2年更新は必須で、少なくとも四半期に1度ぐらいは、OTAを通じてセキュリティアップデートが行われている。
しかし、以下がNECのサポートであるが……壊滅的である。
次の世代で例えばTE710/KAWを出すならほぼ同じスペックで10.1インチの旧世代のTE510/JAWのAndroid バージョンをまず9.0にすることから始めるべきだろうと思うが……。レノボブランドでの売れ残りか、それとも企業によってはこれでも売れるのかそういう点で売っているのかも知れない。
ちなみに、これ系のPCはCESで評判が良かったことがASCIIに書かれている。だから、一部機種は再度の海外展開も始めるそうだ。日本では市場シェアを徐々に落としているので、ここらで転換したいとか、北米市場に限らずLenovoブランドの頭打ち感が見てきているからかも知れない。既に世界シェアはLenovoが圧倒的になりつつあるからだ。そこに、NECというブランドや今後富士通というブランドを入れていくつもりなのかも知れない。
尚、ASCIIの記事の通りなら、今後パフォーマンスで攻める商品も開発していく方針のようなので、VEGAなどの製品ははじまりに過ぎないと思われる。
まあ、そうなっていけば良いが、少なくとも日本では性能を上げてこなかったイメージが強いので、反転するにはちょっとずつでも1機種ずつでも、ちゃんとGPUとCPUのバランスを確約した物を出さないと難しい。
これから、そういうものが出てくる事を期待したい。

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