新型コロナウィルス対策情報が充実しない日本 …… CDCは早いのに。
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中国では新型コロナウィルスによる感染者が急増している恐れがあると報道が始まっている。武漢だけではなく北京でも感染者が見つかったという。死者は3人でうち2人は60代の男性、最後の1人の性別や年齢は国内報道では定かではない。危篤(意識不明の重体)が9名居るとNHKでは伝えている。患者数は一気に40人台から増えて198人(たぶん今も増えている可能性が高い)に達したという。武漢以外を入れると201人である。
この状況だと、封じ込め出来ず世界流行に入る可能性もありそうだ。
しかし、その割に日本の厚労省などはあまり情報を出していない。今出ている官庁関連の情報は以下の2サイトで僅かな情報だけだ。
個人サイトではかなり出ているが、信憑性がはっきりしない情報も含まれており、ニュースサイトがばらまく不確実な情報に踊らされている感もある。
ちなみに、米国ではCDC(アメリカ疾病対策センター)が2019 Novel Coronavirusという(2019-nCoV)特設サイトまで用意して現状の説明(この記事を書いている時点では週末なので1月17日付けまでの情報)が開示されている。英語が読める人は見るとよいだろう。分かり易く対処方、現在政府がどう動いているか、1月17日までにおける病気の広がりなどをちゃんと示しており、医療従事者に対する対策や、家で療養する場合の注意事項、家庭看護での感染予防まで詳しく書かれている。
これが、米国の官庁における病気対策の素晴らしさでもある。インフルエンザでも書いたが日本は、行政府にこういう必要なまとめ情報を出す力がなく、民間サイトに誘導したり、全く情報が無かったり、リンクをたらい回しにして結局好ましい情報がないから変にワイドショーなどが騒ぐのだろう。
尚、WHOでも以下の情報が開示されているが、こちらは専用情報ではないコロナウィルス全般に対する情報だ。ただし、15日に追加された映像で生肉などを扱う際に衛生面に気を付ける(火をよく通すとか、しっかり手を洗うとか)といった情報があるのは、武漢での発生が市場だったからだろう。ただ、もし国内にこの手のウィルスが入ってくるなら、実際にこういう点にも注意が必要になってくるかも知れない。
まだ、宿主ははっきりしないため、人から宿主となる動物と似た動物(例えば牛だったりするなら牛)を経由して感染が広がる可能性も否定は出来ないからだ。MERSは原因がラクダだったが、2019-nCoVの宿主が何かが分からない限り、もし国内での感染が今後出てきて広がることがあれば、こういう部分にまで気を使う必要がありそうだ。
<今分かっていること>
現状で分かっているのは、このコロナウィルスは、新型のゲノム(RNA)配列だということだ。そして、そのゲノムは全て分析が終わっており、公開されているようだ。
そして、SARSのように重症肺炎を引き起こすリスクがあるという点。少なくとも60代の男性患者が2名亡くなっており、その他にさらに1名亡くなられたということ。重篤な患者数は44名に達していると言うこと。死者のうち2名が60代なので他のコロナウィルスによる感染者と同じで、高齢者や(たぶん)子供の重症化リスクがそれなりに高いと言うことだろう。重症化している患者の年齢分布がもう少し詳しく国内や米国で伝えられれば、心配しなければいけない人ももう少し絞られるだろうが……。今の時点ではそれぐらいしか分からない。
NHKの情報通りで見ると、死亡者3名に対して、危険な患者が9名、重症者が35名、発症者が201名(+2名日本とタイ)の現状なら、現在の致死率は1.5%、重症化致死危険率は5.9%となり、死者・意識不明者を除いた重症化率は17.2%となる。今のままで推移すればSARSほどの致死率にはならない計算だが、実際には感染拡大が続いていることが分かってきており、最終的にどうなるかは分からない。
医療がしっかり供給されれば、このままの致死率が維持できる可能性は高いとも言えるので、日本のように国民皆保険がある国では、もう少しリスクは下がるかも知れない。
ちなみに症状は、風邪の症状であるが、現状でこの病気と疑われる可能性があるのは、
発熱などの症状を発症する前14日以内に感染者と接触した可能性があるか、武漢や北京の感染が増えていくならそれらの患者が多くいたと思われる場所に旅行または生活していた人となる。即ち、発症までの最大期間は2週間程度ということになる。
尚、発症する可能性があるのは、今のところ濃厚接触者となるが、今後この情報は変わる可能性もがあることも示唆されている。現在調査中だからだ。
一応、感染のリスクを考えた場合、
米医療機関のガイドラインに準じると、飛沫感染の想定では約6フィート(2m)以内で看護などを行った場合、後は咳の掛かる場所、痰に接触して接触した手で目や口鼻に触れるなどした場合である。(この場合は、医療用ガウン、N95マスクなどを適正着用し、ゴーグルなどをしているのが好ましいようだ。
<感染、看護者の対応>
家庭での対応においては、上記した14日以内の渡航歴がある場合での発熱や症状の変化(発熱がなく咳や鼻水等の症状だけ発症するケースもある)が見られた場合には、かならず医療機関に連絡(または自治体)に連絡を入れてから、病院を受診すること。(絶対に受診すること)
自宅療養をする場合は(症状が軽い場合)、自宅で療養を行う患者の介護者のみ(通常は患者+1名だけ)が自宅に残り、その他の人は別の場所で生活することが重要である。さらに患者と同じ衛生材料(タオル、トイレ、ティッシュペーパーなど)を使わないこと、来客を断ること(家の中に招かない。出来れば看護者も含めて、電話や家の玄関扉を隔てた先と家で会話する)、高齢者(ここで言う高齢は60歳以上の人)や免疫不全、生活習慣病を持つ患者が看護をしないこと。
頻繁に手洗い(石けんを使って20秒以上)をするか、アルコール消毒剤を手に使うこと。
雨天や雪などの悪天候でなければ、換気を定期的に行うこと。
患者は第三者と部屋を共有する際には、必ずマスクなどをして飛沫が飛び散らないようにすること。
患者または看護者が利用した使い捨てマスクやガーゼなどのものは、1度外したら2度と再利用せずに速やかに捨てること。
食べ物、コップ、お皿などの食器、寝具は共有しないこと。
衣類や寝具などが汚れた場合は、速やかに洗濯をすること。その際に、衣類や洗濯機の洗濯タグにおいて指定温度で可能な限り高い温度の温水などを利用して洗濯ををすることが好ましく、乾燥機などでしっかり乾かすのが良い。
トイレなどの患者が使ったもの触れたもの(扉のノブやキーボード、机など)の掃除はしっかり行うこと。
EPA承認の希釈漂白剤などを使って清掃をすること(但し、掃除に対する条件がある物の場合はそれに従うこと)。
患者の治療完了後、介護者、看護者は14日間毎日2回(朝夕)体温を測ること。
咳や、痰、呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)や息切れ、その他風邪の諸症状がある場合は、医療機関に連絡すること。
症状が14日間出なければ学校や会社など日頃の生活に戻っても良いが、それまでは外との接触を極力避けること。
などが、示されている。
日本の情報は、基本的に恐れさせる情報を出すか、またはこれから大変だという情報を出すか、特効薬はありません。だけど大丈夫です安心してくださいという情報を断続的に出すかぐらいしかやらない。結果的に、分かってくるのは良く分からない怖い病気だという現実だけだ。それが、マスクの励行などに繋がるのだろうが、米国のCDCは濃厚接触者以外に別にマスクをしましょうとか書いてはいない。大事なのは感染者(病人)についてはマスクをすることで飛沫を広げないようにすることであって、誰もがマスクを付けるとか指示しているわけでもない。(これは、マスクは管理をちゃんと行わないと衛生上の問題は起きやすいためである)
WHOではくしゃみをする時には、手で口を覆うのではなく腕の付け根で鼻と口を覆って咳やくしゃみをすること(手にウィルスや細菌が付かないのでリスクを低減出来る)など、本当に効果が期待出来ることが明記されている。
他にも、日本の国立感染症研究所が出すような情報もここにはあるが、一元化されていることはとても大事だ。ここを読めば全てが分かることが、如何に国民の心配を減らし、万が一感染症が拡大したとしても、その情報がここを見ればわかり、その治療法や隔離の仕方が分かるのだから。
最近は、この手の新しい感染症も増えている。日本も行政府がもう少しこの辺りの情報の出し方とまとめ方を考えて作らないと、いけない時期に来ていると思うが……行政府に回されている予算というのは、一体何に使われているのだろうか?専門のチームとか、有識者会議とかに使われて、国民が知るべき予防情報などをしっかり行政が広報せず会議尽くめなら、その予算を別に回した方が良い。
最後にこれは私の予想であり、現実にどうなのかはこれから分かる事だと思うが、これが今後患者数を世界に広げるようなことになった場合、この病気は一般のcoronavirusと同じ感染力があると見るのが妥当だ。ただし、発症者が全体の1割もなく、高齢者や子供などに多い程度なら、たぶんこれはたいていの人が普通に体内の免疫だけで処理出来る病気であると考えられる。重症化する人は、全体の僅かということだ。
感染しない訳では無く、単に他のcoronavirusの体内免疫に使うIgも十分に機能するか、ある程度機能するということだ。だから、一部でしか発症しないか、大量にウィルスを浴びない限り、発症しないとしたら、まあ説明もつく。これは、新型インフルエンザでもそうだが、全く新しい未知のウィルス(新型や亜種ではなく新種)でなければ、皆が必ず発症するとは限らないものだ。そのため、ただ恐れるのではなく、睡眠不足を避けたり、食生活の偏りを減らしたりして、免疫が落ちないような体調管理を図るといった基本的な対策をすることで、こういう病気を避けられるという見方も十分にしておくべきだろう。
これは、Bio Safety Level 4のエボラ出血熱などとは違って、いわゆる感染イコール殆どの場合発症からの高い確率の致死には至らない病気における特徴であり、BSL4の病気と同列に恐れる必要はないことを理解しておく必要がある。対処療法でも早くに治療を始めれば、今のところは十分治る病気なのだから。
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