間もなく投入されるLakefield製品群……IntelでもAlways Connected PCが標準に。どの程度のスペックになるか?

PC Watchの記事の先週末の記事であるが、Samsungが最初のLakefield搭載PCをアナウンスした。来年早々のCESまでには他のメーカーも準備を終えるだろう。ちなみに、Intel側の記事にはこのSamsungに搭載されている製品が、LTEモジュールも内蔵しているという旨の

”Samsung Galaxy Book S is expected to be the first device to arrive in market based on Lakefield, and will offer Intel LTE support for an always-connected experience.”

という文面があるので、あとはバッテリーの持ち時間次第だが、完全にSnapdragon 8cxは要らない子へと向かう可能性が極めて高い。

ちなみに、5G事業はAppleに売却したIntelだが、製造ラインなどはIntel内にある可能性が高く、スマホ向けではないチップはクロスによる開発(Appleによる共同開発)が行われると思われる。(それも含めて売却の際に契約しているはずだ)ちなみに、現状でIntelがオンダイ実装できる最新セルラーモデムは

XMM7560
L1 DownLink:979Mbps、
L1 Uplink:150.8Mbps、
14nm、
GNSS 4mode(GPS、Galileo、beiDou、GLONASS)

までだが、それ以下という可能性は低いだろう。


<性能はどの程度になるのか?>

Samsungの記事通りなら、これはかなり強力な製品になるだろう。iGPUは Iris Plus Graphicsが搭載される見込みと考えられるからだ。
第10世代のIris Plusだと48~64EU搭載となり、700GFlops前後(FP32換算)~、64EUモデルなら1.1GHzの最大クロックで1100GFlops(1.1TFlops)前後に達する。だいたいGeforce GTX 750並(Tiではない750相当)である。まあ、実際にはフルクロックで常時安定させることは出来ないはずなので、まだそれを若干下回るだろうが、本格的なゲームもちゃんと”フルHDで出来る”ぐらいになってくると予想される。

2 in 1やMobile Note製品として見るならかなり魅力的な製品群になるだろう。


次にCPUだが、Tremont Micro-Architectureについては過去に書いたように、同じ周波数ならAVX搭載のCore iの第2世代i7とほぼ同等か多少上回るほどの性能に達していると予想される。(Intelの公称通りならほぼ同等である)それが、4つ搭載されている訳だ。

そこに、さらに1つの大きなコアとしてIce Lakeが実装されており、これはAVX-512F(仮称AVX-3.4~3.5相当)をサポートしているはずだ。(実際にはEnableで動作するかは出てみないとわからない)
同じクロック周波数なら、Ice LakeはSkylake世代の1.1倍~1.2倍の範囲で性能を引き上げている。
この1つのコアだけで、同じクロックのTremont MAプロセッサー4コアの0.6~1コア(AVX-256利用時)ぐらいの性能が発揮できると考えられる。Ice Lake側の上限周波数は高くなると予想されるので、オールコア(5コア全て)が動作すれば、Amber Lake-Y(m3-8100Y)を優に上回る可能性も高い。iGPUがIrisならトータル性能では間違いなく圧倒的に上回るだろう。


以上のようにみると、コネクティッド(LTEや無線LAN利用)状態での電力性能がどこまで近づくかが、残りの懸案ではあるが、もしそれが十分に実用に足りた場合、モバイルでの性能面ではSnapgragon 8cx(まもなく登場する865のComputing Platformも含めて)を売り込める要素が完全に絶たれることになるだろう。IoT Coreなどのカスタムボードではまだ生き残る余地はあるだろうが、PCとしての戦略は、見直しに向かう可能性も高い。

MicrosoftのSQ1 ARMプロセッサー搭載Surface Pro Xの日本での発売は来年だが、早めなくても良いのだろうか?

まあ、Intel側の製品性能が期待値より遙かに低いというケースもまだないとは言えないので、その場合はPro Xが売れるのかも知れない。
その代わり来年投入のSurface Neoの期待値が下がることになるだろうから、どちらかというとPro Xの方が、Qualcommにとっては最後の賭けのように見える。




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