AQUOS zero2は意欲的も、バッテリー容量が問題も、Xperia 5よりバランス評価は高い。

昨日、SHARPが新型スマートフォンの発表会を開いた。各社がそれについて記事を書いているが、その中でもAQUOS Zero2の発表で、143gという軽さが強調されていたのは、まるで携帯型のノートPCのような日本らしい戦略だなと思ってしまった。

AQUOS Zero 2は、前機種に対してディスプレイを大型化し、Snapdragon 855とメモリー8GB、UFS3.0フラッシュストレージで256GB、4倍速有機EL(倍速+黒挿入)という拡張を行った製品である。他にもカメラに光学式手ぶれ補正を内蔵したなど差はあるが、主に基本性能の向上を果たして、軽くしたというのが売りだ。しかも、ゲーミングに寄せているのが特徴である。

ただ、この製品には足りない部分もいくつかある。
1つはSDカードスロットがないこと。
2つ目にイヤホン端子(Stereo Mini)はない。

それから、バッテリー容量がXperia 5の3140mAhより10mAh少ない3130mAhであるという点だ。どちらも、リチウムイオン電池の標準である3.6~3.7V仕様だろうから、ゲーミングを狙っている場合はこのバッテリー容量が吉と出るか凶と出るかが心配なところだ。

Xperia 1は海外仕様の3330mAhでも、実はゲーミングなどで使う場合のバッテリー単体動作における持ちは、そう長くないと不満を持つ人も多いようだ。そんなに、長時間するほどスマホでやるのか?とは思うところではあるが、何故か日本ブランドのスマホ上位機は、このバッテリー部分の強化が弱く見えるのが残念な点である。ただ、Xperiaとは違って軽さを追求して他のスペック性能も純粋に持ち上げている辺り、正直Xperia 5より遙かに評価が上がるのは当然の結果だろう。

即ち、Zero 3に向けての目標は、軽さを維持して内蔵バッテリーの容量を増やすことだ。
SHARPの良い点は、ちゃんと欠点を毎回一つずつ潰すところにある。Zero3でも、3つのうちのどれかを潰す可能性がある。ゲーミングも考えるなら、イヤホン端子を先に搭載してもポイントは高いかも知れない。スマホでは音で遊ぶゲームも多いようで、それらを屋外で遊ぶ場合に、ワイヤレスヘッドホンや、紛失の恐れがあるUSBイヤホンジャックを使うより、本体にジャックがあったものの方が好む人も多いらしい。

尚、GNSS/RNSS(GPSやGLONASS、QZSS)はL1/CA+L5のDual Band対応となっている。これも、Xperiaより実は良い点である。元々SDM845以降ではDual Band GNSSをオプションまたは標準でサポートできるが、これを国内メーカーでサポートしたと正式表明したのはAQUOS Zero2が最初となると思われる。まあ、補足制度が大きく上がるのかというと、そんなに大逸れて上がる事はない。L1が受信できない場合に、L5やE5が受信できれば、継続捕捉が可能という程度だ。
QZSSのL1S(サブメーター級)やL6(センチメーター級)をサポートしているわけではないので、注意して欲しい。


しかし、こうなってくると、Xperia AceをSIMフリーでも投入したソニーは、勝ち目が更に低下していると言える。
AQUOSはこの他にもSenseシリーズも刷新して発表しているためだ。

まあ確かな事は、SHARPというメーカーは、鴻海の傘下に入ったことで復活したということだ。それだけ、日本企業の経営者はただの雇われ止まりなのだろう。大事なのは、何を選んで、何を棄て、何を得るかだが、そのためには決断とそれに対する責任が必要になる。まあ、政治でも経済でもそうだが、今の日本は、惰性で○○するしかない。どうしようもない(これしか道が無い)からやるぐらいの発想で進む。そうではなく、成功に向けて夢に向けて進むから失敗すればその責任を取れるぐらいの人じゃ無いと、経営者として失格だということが日本ではいつしか浸透しなくなったのだろう。

SHARPは今のトップがそういう勝つことに自信をもった体制だということだ。

尚、AQUOS Zeroは今の機種でも新品で10万ぐらいするので、実際にこれがSIMフリーで沢山売れるのかというと、そうそうは売れないだろう。
それでも、これを出すのは海外でも売れる仕様を狙っていることと、トップブランドの製品を誰でも買える状況に置くことで、キャリアでも相応の評価を得られるからだろう。いわゆる未来を見据えた投資である。

この記事へのコメント

YJ
2019年09月26日 11:15
バッテリー容量は少ないのですが、同時に表示解像度も低いため意外と電池はもつのでは、と予想しています。
(といっても、よくて今どきのハイエンドと同等程度だとは思いますが)

本当は解像度を今どきのWQHDで揃えて、バッテリー容量増やしてほしいところですが、それこそ重量とのトレードオフなのでしょうね……
ハチ
2019年09月26日 17:16
バッテリー容量3000mAh程度で足りるかは別として、今年春以降のAndroidフラッグシップ機種はほとんどのメーカーでミドルクラスと同じ4000mAh前後の容量に移行していると思います。
日本人は手が小さいこともあって軽さや小ささを求める声が大きいのかもしれませんが、単純に流行についていけていないのならちょっと心配です。
それでもSHARPは鴻海傘下になってからいい方向に変わっている感じがしますね。
BASA
2019年09月28日 11:29
行き過ぎた軽さ自慢は昔から日本企業が好きですよね
ハイエンドの高価な機種だと 重さ=高級 と捉える人が多いしわざと重くしてる中華メーカーもあるようです。

ユーザーの強い要望であるバッテリー容量増加トレンドは抑えつつ、その世代で最軽量を目指せばいいのに『前回品より軽くしました』と謳うために前回機種から進化無しはなんか惜しいですね
AMC
2019年10月01日 11:44
>BASAさん
コメントに対してコメ欄で質問恐縮ですが「わざと重くしてる中華メーカー」というのはどこのメーカーでしょうか。
もしまた奇跡的にここ見られたら、教えていただきたく・・・。

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