5G時代を前に始まる自動車通信の定額化……まずはスカイラインとPIONEERブランドで。
先週金曜日に、ケータイWatchに以下の記事が掲載された。ドコモが、スカイラインのカーナビに対して、LTEの通信料金を12ヶ月一括契約時に12000円(月1000円換算)で定額化するというものだ。
厳密には、この秋から出るパイオニア(カロツェリアブランド)のカーナビも対象となっており、この秋から順次スタートするようだ。以前ならこういうサービスはau by KDDI等の方が先に展開することが多かったが、KDDIは最近腐り気味で、残りの二社は5Gの実証実験はよくアナウンスして報道陣を集めてプレゼンしているが、実際に廉価な定額サービスとなるとドコモが優位になりそうな雰囲気になりつつある。dの付くサービスが安定しはじめたことで、通信料金を下げやすくなったのかも知れない。
それはともかくとして、何故これが発表されたのかが先週の時点では分からなかったが、本日のニュース(各社が報道)で明らかになった。
プロパイロット2.0を利用する地図のリアルタイム処理を維持するためのようだ。
そして、これで培った技術を使って5Gへの落とし込みをいち早く行うのがNTTドコモや日産、ゼンリンの戦略だろう。
<ほぼ完成したレベル3自動化>
日産のプロパイロット2.0は車線変更(手を離して変更は不可だが添えておくだけで良い)も可能になったようだ。さらに、ハンドルから手を離した状態でも、急カーブやトンネル内など一部を除いてではあるが自動車専用道路(高速道路と軽車両やスクーターが入れない専用道路)での走行が可能になるようだ。これで、ほぼLevel 3という限定環境での自動運転の準備が整ったと言える。
まあ、まだ完全とは言えないが、ここから先に向かうには運転者側がそれを安全だと認められるようになるぐらいまで、時間が必要だ。ここからは、10年~20年またはそれ以上のサイクルで社会の考え方も変わり、世代も変わっていかないと普及しない技術だからだ。ただ、もう現実には完全手放しでも、問題ないレベルに達しているのだろう。ただ、倫理上と万が一があるので、それは出来ないようにしているだけだと思われる。
これに伴ってLTEを定額化してさらにそれを経由して車内のWi-Fi環境を整えるのが今回のNTTドコモのサービスである。まあ、ドコモのこれまでを考えると、利用者が増えるとWi-Fi側は重量制に戻る可能性もあるが……。それでも、本格的に無線IoT時代が始まると言える。
・急カーブ
・トンネル
・対面通行路(暫定二車線道路のことと思われる)
・料金所ランプ合流付近。
・追い越し走行時
などになるようだ。
ただ、これらの条件付けでも利用する地図データは高度な3D地図を使うほどの念の入れようである。しかも、ミリ波レーダーが5機、ソナーが12機などカメラの他にも複数の装備がある。
また、トンネルでの手放しを禁止している辺りと、一部の報道でセンチメートル単位で、地図制御しているという話もあることから、GNSSもGPSとGLONASSを併用し、RNSS_QZSSのL6バンド(センチメーター級補強信号)の1278.75MHzの信号を使っている可能性が高いと考えられる。これと、OBDⅡを組み合わせると、殆どズレなく場所を特定できるはずだ。地図に誤りが生じたり、衛星測位信号が狂わない限りは……。
まあ、この手の技術は、今後当たり前になっていくだろうから、今は目新しいものでも、そのうちには特別なものではなくなると考えられる。
その時までに、克服しなければならないのは、センサーの誤動作による(故障)による事故の発生を如何に防ぐかと、GNSS信号へのジャミング攻撃やなりすまし攻撃対策だろう。一番心配なのが、後者である。上空の衛星を不正誘導できなくとも、地上でGNSSと同じ周波数で位置情報のビーコンをずらして飛ばす(Spoofing/スプーフィング……なりすまし攻撃のこと)ことは不可能ではない。自動対応製品が増えていくと、こういう攻撃も出てくるかも知れない。日本ではこれらの攻撃が出て実害があってから政府などが動くことも多いので、そういう部分に対しての対策も必要になってくる。
言うなれば華の部分は当たり前に進化していくが、華が当たり前になった頃までに、攻撃対策も生み出されていなければ、市場でそれが当たり前になった頃に、市場が大混乱になることもあるので、企業やそれを監督する官庁は気を抜いてはならない。
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