F-35とAV-8B HarrierⅡ/Plusの比較表
のりものニュースのコラムを見ていて、なかなか興味深かったので、作ってみることにした。
https://trafficnews.jp/post/79324/2
ハリアーという航空機を見た時に難しいのは、この機体、最初のHarrier(AV-8A)とII世代(AV-8B)で開発が異なる点だろう。しかも、バリエーションが豊富で、英国軍と米軍、インド軍などで結構なカスタマイズが掛かっている。だから、STOVLにハリアーⅡが対応していないという点、人によってはハリアーは対応していただろうという人もあるだろう。これは、英国のSea Harrierが対応していた(既に退役済み)。
米軍の現用ハリアーⅡやⅡ+(Plus)ではない。ハリアーⅡは当初、Hawker Siddeley(ホーカーシドレー)からライセンスを受けて、McDonnell Douglas(マクダネルダグラス)がカスタマイズ製造するはずだったが、最終的に共同開発というべきかどうかは分からないが、米Douglasがハリアーに当時の先進技術をつぎ込む形で開発されたという、珍しい機体であることは知る人ぞ知る話だ。
そのため、初期開発ベースはベース機体はHawker Siddeley P.1127である。ただし、機体コードからも分かるが、P.1127は開発試験機(政府などから製品開発の資金許可を得るための機体)でありハリアーではない。Hawkerは当時開発資金を得るために奔走した。
それに対して、F-35はボーイングのX-32と競ったJSF選定機体である。その前のATF(advanced tactical fighter)も最終製造開発はLockheed Martin(F-22 Raptor)※が行ったため、F-35で2世代続けてLockeed Martinが勝ち取った。NATO御用達の航空機になる予定で、中国軍にステルス技術が漏洩した航空機でもある。そして、センサー系が豊富で強力それらをHMDに表示出来るという先進技術を搭載したが故に、ソフトウェアバグに悩まされ続けた。一時期は、予算削減や製造数削減の危機に遭い、完成せずこのまま計画中止で伝説になるかとも言われた機体でもある。
※ATF開発試験機であるYF-22はBoeing、General Dynamics、Lockheed Martin3社の技術が採用されている。だから世界最強と呼ばれる程になった。
(以下-表はPC表示のみ対応です。スマホの場合は表示モードをPCビューにしてください)
ハリアーと比較するなら、F-35Bだけなのだろうが、ハリアーもバリエーションが豊富なので、米国仕様のⅡPlusを基準にしつつ、Ⅱ系のDouglas/Hawkerバリエーションにどんなのがあったかを書いてF-35のバリエーションも載せることにした。ハリアー側は、たぶん合っていると思うが、自信はない程度にバリエーションが多い。AV-8Aと混同してしまう上に、バリエーションよって仕様が少しずつ違うのだ。
だから、一次ソースを探し当てられなければ、データシートに表記ズレが産まれてしまう恐れがある。ボーイングなどに残っていたので良かった。退役するとこういう一次データもWebから消えそうだ。
35Bとの離着陸の差は、CTOLとSTOVL対応の差だろう。これも大きな差と言えば差だが、実際に差が大きいのは、アビオニクス/センサー(レーダー含む)の差だろう。後は、ステルス特性、推力、機体の大きさ、最高速度など全てが違う。これらは、航空機のベース技術が何十年も違うからこその差とも言えるが……
そもそも、根本的にハリアーシリーズは、攻撃機である。それに対して、F-35は戦闘攻撃機である。そこを考えると、隔たりも大きくなる。
だから、あまりこういう比較をする人はいないだろう。それが、面白い。
https://trafficnews.jp/post/79324/2
ハリアーという航空機を見た時に難しいのは、この機体、最初のHarrier(AV-8A)とII世代(AV-8B)で開発が異なる点だろう。しかも、バリエーションが豊富で、英国軍と米軍、インド軍などで結構なカスタマイズが掛かっている。だから、STOVLにハリアーⅡが対応していないという点、人によってはハリアーは対応していただろうという人もあるだろう。これは、英国のSea Harrierが対応していた(既に退役済み)。
米軍の現用ハリアーⅡやⅡ+(Plus)ではない。ハリアーⅡは当初、Hawker Siddeley(ホーカーシドレー)からライセンスを受けて、McDonnell Douglas(マクダネルダグラス)がカスタマイズ製造するはずだったが、最終的に共同開発というべきかどうかは分からないが、米Douglasがハリアーに当時の先進技術をつぎ込む形で開発されたという、珍しい機体であることは知る人ぞ知る話だ。
そのため、初期開発ベースはベース機体はHawker Siddeley P.1127である。ただし、機体コードからも分かるが、P.1127は開発試験機(政府などから製品開発の資金許可を得るための機体)でありハリアーではない。Hawkerは当時開発資金を得るために奔走した。
それに対して、F-35はボーイングのX-32と競ったJSF選定機体である。その前のATF(advanced tactical fighter)も最終製造開発はLockheed Martin(F-22 Raptor)※が行ったため、F-35で2世代続けてLockeed Martinが勝ち取った。NATO御用達の航空機になる予定で、中国軍にステルス技術が漏洩した航空機でもある。そして、センサー系が豊富で強力それらをHMDに表示出来るという先進技術を搭載したが故に、ソフトウェアバグに悩まされ続けた。一時期は、予算削減や製造数削減の危機に遭い、完成せずこのまま計画中止で伝説になるかとも言われた機体でもある。
※ATF開発試験機であるYF-22はBoeing、General Dynamics、Lockheed Martin3社の技術が採用されている。だから世界最強と呼ばれる程になった。
(以下-表はPC表示のみ対応です。スマホの場合は表示モードをPCビューにしてください)
型式 | F-35 Lightning II | AV-8B Harrier II及び Ⅱ+ 特に注釈がなければII+の仕様 |
初期開発元 | Lockheed Martin | AV-8Aの元はHawker Siddeley (British Aerospace plc)だった以下機種 |
初期開発コード | Lockeed Martin X-35 | STOLの元祖はHawker Siddeley P.1127 |
初期開発選定目的 | Joint Strike Fighter選定 | V / STOLの開発 |
開発製造元 | Lockeed Martin | McDonnell Douglas |
日本での呼称 | F-35 (ライトニングⅡ) | ハリアー攻撃機/ハリアー2(プラス) |
機体用途 | multirole fighter (戦闘攻撃機/MRCA) | attack aircraft (攻撃機) |
初飛行 | 2006年12月 | 1978年11月(Ⅱ) |
製品出荷 | B型は2015年7月 A型は2016年8月 C型は2018年中を予定 | 1985年1月(Ⅱ) |
製造期間 | 量産中 (F-35Cは後期テスト中) | -2003年迄(改修を含む) |
退役 | 未定 | 運用中-F-35Bと入れ替わり退役予定 |
派生機種 | F-35A(標準戦闘機) F-35B(STOVL) F-35C(翼端畳み艦載機) F-35I(イスラエル軍向け) F-35D(35A改修候補機※) ※運用20年後を目処にした改修候補型番。 | YAV-8B AV-8B Harrier II 同上 Night Attack 同上 II+ TAV-8B II/II+ EAV-8B Matador II/II+Harrier II Harrier II GR5/7/9/TR10/TR12 |
パイロット/クルーの数 | 1人 | 1人(派生には復座あり、Plusにはない) |
胴体の長さ | 15.67m | 14.12m |
両翼先端までの幅 | 15.4m(A&B) 13.1m(C) | 9.25m |
高さ | 4.33m | 3.55m |
基本機体重量 | 13.154t(PT) 13.199t(A) 14.715t(B) 15.686t(C) | 6.34t |
積載重量 | 22.426t | 10.41t |
最大離陸重量 | 31.8t(A&C) 27.2t(B) | 14.1t 垂直離陸は9.415t |
最大巡航速度 | 1930km/h | 1083km/h |
戦闘半径距離 | 1239km(BT1407km) | 556km |
エンジン | P&W F135 ×1 | Rolls-Royce F402-RR-408 ×1 |
推力 | 125kN(ドライ) 191kN(AB最高出力) | 105kN |
ステルス特性 | あり(ウェポンベイ利用時) | なし |
レーダー | AN/APG-81 AESA | AN/APG-65 -参考情報旧機種派生- Blue fox/Blue Vixen(FA2) |
アビオニクス (レーダーを除く) | AAQ-40 AN/AAQ-37 DAS AN/ASQ-239 EWS AN-ASQ-242 CNI | AN/AAQ-28V |
機銃 HP/追装(重量) | GAU-22/A 25mm×1 外部6(6.8t) 内部2(2.59t) (総重量最大8.1tまで) | GAU-12 Equalizer 25mm×1 外部6(4.2t) |
離着陸(艦)運用 | A(CTOLのみ) B(CTOL,STOVL,V/STOL) C(CTOL,艦載機仕様追加) | V/STOL(STOL/VTOL含む)※ ※垂直離着ではHP追装を使えない。 -参考情報-旧機種派生- STOVLはSea Harrierが対応していた。 |
その他備考 | AESAレーダー搭載、HMD利用が前提でフル電子化されている。ステルス特性を持つ。強力な複合センサーも搭載し、昼夜悪天問わず利用可能。複合センサーを多用する都合上、ソフトウェアバグで開発が難航したことで知られている。 | 最新鋭ではない。この航空機は攻撃機であり、制空権を握った場所で運用する航空機である。航空機同士の白兵戦には弱い。 イギリスでは退役が完了。米国でも順次入れ替わる見込み。初期のHawker Harrierと後の米国IIという違いの他、バリエーションが多いので分かり難い。 |
ハリアーと比較するなら、F-35Bだけなのだろうが、ハリアーもバリエーションが豊富なので、米国仕様のⅡPlusを基準にしつつ、Ⅱ系のDouglas/Hawkerバリエーションにどんなのがあったかを書いてF-35のバリエーションも載せることにした。ハリアー側は、たぶん合っていると思うが、自信はない程度にバリエーションが多い。AV-8Aと混同してしまう上に、バリエーションよって仕様が少しずつ違うのだ。
だから、一次ソースを探し当てられなければ、データシートに表記ズレが産まれてしまう恐れがある。ボーイングなどに残っていたので良かった。退役するとこういう一次データもWebから消えそうだ。
35Bとの離着陸の差は、CTOLとSTOVL対応の差だろう。これも大きな差と言えば差だが、実際に差が大きいのは、アビオニクス/センサー(レーダー含む)の差だろう。後は、ステルス特性、推力、機体の大きさ、最高速度など全てが違う。これらは、航空機のベース技術が何十年も違うからこその差とも言えるが……
そもそも、根本的にハリアーシリーズは、攻撃機である。それに対して、F-35は戦闘攻撃機である。そこを考えると、隔たりも大きくなる。
だから、あまりこういう比較をする人はいないだろう。それが、面白い。
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