進化を続けるSDメモリカードの複雑な規格
最近、128GBのMicroSDカード(SDメモリカード、以下SDカード)を買ったのだが、Application Performance Classや、Video Speed Classなど、新しい速度クラスが増えていた。ここ4年ぐらいは数百円ぐらいで安く買える8GB SDカードを買うぐらいしかなったので、あまり追っかけていなかったがこの機会に調べて見ることにした。
SDA(SD Association)には、規格に関する説明がいくつかある。それを元にいくつかのWebサイトや個人Blogで詳細が説明されているが、内容を読むとどうにも分かり難いなという印象があった。
調べていくと、その原因はUHS(Ultra High Speed)から先の規格にあるんじゃないかと感じるようになった。
SDカードのUHSと聞いて思い浮かべるのは何か?と聞かれると、たいていは2つに分かれる。
1つは、スピードが速いという印象だろう。もう一つは規格だという印象だ。
前者は、扱うイメージとして捉えているケースと、新しい規格として捉えている人の二通りがいる。
後者は、まずきちっとしたテクノロジー規格を書いた書籍やWebサイトを読んで知っている人だと思われる。
前者のイメージだけなら別に問題ないのだが、後者で考えている場合、二言目、三言目にどういう言葉が出てくるかが、重要になる。要は、SDカードの何を決める規格なのかということである。
速度を決める規格という言葉しか出てこなければ、40点である。
本来、UHSはインターフェースバスの規格である。ただし、これでもまだ80点である。
それを使うという条件で、対応インターフェース(UHSインターフェース)を搭載した読み書き装置(SDカードスロット)で、最低速度が保証されるメディアをUHS Classメディアとしてブランド化している。即ち、UHS Classという媒体の最低速度を規定しているルールもUHSにはあるということだ。ここまで説明できてやっと100点になる。
これを読んで、インターフェースバスが何を決めて、UHS Speed Classが何を決めているか?これで理解出来るとは思えないからだ。実は、SDAでさえも、これらの点を別々のページに書いているため、分かり難い。そこで、バスとSpeed Classを合わせたものを表にすることにした。
まずは、以下はインターフェースバスの仕様表である。これは、メモリーカードスロット(カード側ではない)の最大速度を決めている。もちろん、UHS接続などの利用にはカード側の対応も必要だが、スロットがUHS非対応なら、速度は最大12.5MB/秒~25MB/秒しか出ないわけだ。
UHS-IやII、IIIというのは、インターフェースの速度を決めており、II以降のスロットとSDカードメディアは、カード裏側の電極の数が増えている。(SDIF/UHS-Iとの読み書き互換は保たれていて、速度が違うだけ。)
これが、いわゆるSDカードスロットの最大速度を決めている。ここまでは、多くのサイトで表が見つかるだろう。
<名称がバラバラになるSpeed Class>
次は上記のバス速度を踏まえた上での混合表となる。
SDカードの表面に貼られているシールにUの中に3やUの中に1というマークが入っていたり、Cの中に10といったマークが書かれているメディアを持っている人は多いだろう。このロゴがあるメディアを最適に使える最小の速度モード(バスインターフェース)は何かというのをここで示している。
例えば、C2(Class 2、Cの中に2が書かれたロゴがついた)というSDカードメディアでは、Normal Speedモード以上に対応した普通のSDカードスロットで、最小2MB/s、最大12.5MB/s以上(インターフェースの理論値)の速度が発揮できることになる。最大が以上となっているのは、インターフェースがUHSなら瞬発的な速度が跳ね上がるケースがないとは言えないからだ。
このように見ていくと、例えばU3(UHS Speed Class 3、Uの中に3のロゴ)では、最低でもUHS-I SDR50というモードに対応したインターフェースでなければ、30MB/sの速度は保証されない。そして、その速度が活かせるSDカードスロットなら、理論上のインターフェース最大速度は最低でも50MB/sを超えることになるという訳だ。
本来は、このようにSDカードスロットのインターフェース速度に合わせて、最適なSDカードを選ばないといけないのだが、実際にそれが伝わらないのは、下位との互換性があるため、こういう相関表が作られてこなかったことと、UHSでUHS Classをメディアの速度保証として作ってしまい分かり難くなったことも大きいのかもしれない。
これが、Class12や20という具合で上がった方が、きっと分かり易かっただろう。
<これからの性能はアプリケーション性能(並列性能)>
そして、私も正直理解していなかったのが、Application Performance Classである。これの速度保証は、10MB/sしかない。そのため、C10と混同してしまう人も少なからずいるようだが、全然違う。これまでの規格はSpeed Classである。それに対して、Application Performance Classはパフォーマンス(性能)クラスという名称になっており、それで最低10MB/sを保証する。
これがやろうとしている10MB/s保証は、いわゆるソフトウェア1本当たりの帯域保証に近いことだ。実際には、現状では、まだそこまで保証できないので、明確にそれを示している訳では無いが、主にAndroidや特殊カメラの運用において、同時に複数の書き込みが合った時に、それぞれにロードバランスとして10MB/sの帯域(例えば2つのアプリなら20MB/s)が確保できることを目標にしているのがこれだ。
そのため、インターフェースバスは最低でもSDR50~104が使えるUHS-Iでなければ厳しいだろう。
また、これに対応した環境はファームウェアやOS側でも、その動作を確認する仕組みが搭載されていることがある。
そして、使うメディアは、A1ロゴの入ったSDカードやmicroSDカードとなる。これは、最小でもU3(UHS Class 3)のメディアになるだろう。
というわけだ。元々はGoogle AndroidやWindowsなどのOS環境で、SDメディアにプログラムや動画を保存する際、快適に動作するようにと定義されたものである。そのため、規格として大事なのは、帯域保証の10MB/sよりも、IOPSの保証や、コマンドセット保証(A2で策定)の方なのだ。
まあ、スマートフォンにおいては、日本はAndroidよりiOS(iPhone)利用者が多いので、知る必要もないという人も多いかもしれないが、Android使いの人は覚えておくとよいだろう。尚、現時点ではA1やA2対応を明記したメディアは少ない。
<SDカードも変わり続けるが、長くなるほど複雑になる>
このように見ていくと、SDカードも最初の頃に比べてずいぶんと速度は上がり、コマンドセットを増やしたり、キャッシュを増やして性能を上げようという取り組みが進んでいる。UHS-III(FD624)に至っては、eMMC5.1(HS400)より高速である。まあ、バスコストとコントローラーの消費電力が高いので、スマホなどでは使われないが、急速に全方位で性能を上げているのが見て取れる。
<基準のあり方は大事だが……>
しかし、消費者がそれをしっかり把握しているかは、微妙なところだ。規格もスピードクラスを一度整理でもした方がよいのではないかと思えてくるほど変化しており、それが結果的にどういう媒体を買うべきか、どういう装置が搭載されているかを把握することを難しくしてしまっている印象も受ける。
ただ、容量だけで見れば、SD、SDHC、SDXCと簡単だが、速度になると複雑なのはこのところのストレージデバイスに見られる傾向だろう。SATAの頃は、世代が上がる毎に速度が上がったが、PCIeベースのNVMeやM.2になってからは、微妙になった。UFSといっても、UFS1.0と2.0、2.1で速度が違うが、UFSにはレーン数という概念があり、1レーンと2レーンでは1世代の差なら理論上の最大速度は、前世代の2レーンの方が高速になる。(平均速度は、新しい世代の方が速い)
と、最近は複雑化の一途を辿っている。規格を作る時間より、よりどこよりも早く優れたものを出すのは、よいことかも知れないが、指標をある程度固めて、スペック上の進化を見せた方が買替えなどに繋がるような気がする。
しかし、SDカードは安くなったものだ。昔は16MBでも結構なお値段で、スマートメディアでいいじゃんと思っていたが……今では128GBのMicroが数千円で買える。SSFDC時代のスマートメディアでもメガバイト単位で記録できる凄いメディアだと思ったが……あの頃の自分にこの爪の先ほどの中に128GBデータが入るんだと言えば、何を寝ぼけているんだと言って、ゴミ箱に捨てられることだろう。容量は、分かり易いが、速度はなんとも分かり難い。
一度整理して、最初に使っていたClassをRe(new) Speed Classにでも統一し、Application Performance Classも全てそれで示した方が良いんじゃないだろうか?これならロゴもR1~R90ぐらいに統一できるだろう。アプリケーション性能を示す定義は、アルファベット速度の後ろにR10A、R10Bなどでも付ければ、速度の進化とホストの進化を一度に表現できる。
まあ、こういう規格整理は多くの賛同メーカーを纏める必要があるので、時間がかかり難しいのかもしれないが……。長く使えるリビジョンやバージョンを使う方が消費者は変化をしっかり認識出来るだろう。Intel Coreのように、大した進化もないのに世代番号が増えてはいけないが……
SDA(SD Association)には、規格に関する説明がいくつかある。それを元にいくつかのWebサイトや個人Blogで詳細が説明されているが、内容を読むとどうにも分かり難いなという印象があった。
調べていくと、その原因はUHS(Ultra High Speed)から先の規格にあるんじゃないかと感じるようになった。
SDカードのUHSと聞いて思い浮かべるのは何か?と聞かれると、たいていは2つに分かれる。
1つは、スピードが速いという印象だろう。もう一つは規格だという印象だ。
前者は、扱うイメージとして捉えているケースと、新しい規格として捉えている人の二通りがいる。
後者は、まずきちっとしたテクノロジー規格を書いた書籍やWebサイトを読んで知っている人だと思われる。
前者のイメージだけなら別に問題ないのだが、後者で考えている場合、二言目、三言目にどういう言葉が出てくるかが、重要になる。要は、SDカードの何を決める規格なのかということである。
速度を決める規格という言葉しか出てこなければ、40点である。
本来、UHSはインターフェースバスの規格である。ただし、これでもまだ80点である。
それを使うという条件で、対応インターフェース(UHSインターフェース)を搭載した読み書き装置(SDカードスロット)で、最低速度が保証されるメディアをUHS Classメディアとしてブランド化している。即ち、UHS Classという媒体の最低速度を規定しているルールもUHSにはあるということだ。ここまで説明できてやっと100点になる。
これを読んで、インターフェースバスが何を決めて、UHS Speed Classが何を決めているか?これで理解出来るとは思えないからだ。実は、SDAでさえも、これらの点を別々のページに書いているため、分かり難い。そこで、バスとSpeed Classを合わせたものを表にすることにした。
まずは、以下はインターフェースバスの仕様表である。これは、メモリーカードスロット(カード側ではない)の最大速度を決めている。もちろん、UHS接続などの利用にはカード側の対応も必要だが、スロットがUHS非対応なら、速度は最大12.5MB/秒~25MB/秒しか出ないわけだ。
UHS-IやII、IIIというのは、インターフェースの速度を決めており、II以降のスロットとSDカードメディアは、カード裏側の電極の数が増えている。(SDIF/UHS-Iとの読み書き互換は保たれていて、速度が違うだけ。)
これが、いわゆるSDカードスロットの最大速度を決めている。ここまでは、多くのサイトで表が見つかるだろう。
<名称がバラバラになるSpeed Class>
次は上記のバス速度を踏まえた上での混合表となる。
SDカードの表面に貼られているシールにUの中に3やUの中に1というマークが入っていたり、Cの中に10といったマークが書かれているメディアを持っている人は多いだろう。このロゴがあるメディアを最適に使える最小の速度モード(バスインターフェース)は何かというのをここで示している。
例えば、C2(Class 2、Cの中に2が書かれたロゴがついた)というSDカードメディアでは、Normal Speedモード以上に対応した普通のSDカードスロットで、最小2MB/s、最大12.5MB/s以上(インターフェースの理論値)の速度が発揮できることになる。最大が以上となっているのは、インターフェースがUHSなら瞬発的な速度が跳ね上がるケースがないとは言えないからだ。
このように見ていくと、例えばU3(UHS Speed Class 3、Uの中に3のロゴ)では、最低でもUHS-I SDR50というモードに対応したインターフェースでなければ、30MB/sの速度は保証されない。そして、その速度が活かせるSDカードスロットなら、理論上のインターフェース最大速度は最低でも50MB/sを超えることになるという訳だ。
本来は、このようにSDカードスロットのインターフェース速度に合わせて、最適なSDカードを選ばないといけないのだが、実際にそれが伝わらないのは、下位との互換性があるため、こういう相関表が作られてこなかったことと、UHSでUHS Classをメディアの速度保証として作ってしまい分かり難くなったことも大きいのかもしれない。
これが、Class12や20という具合で上がった方が、きっと分かり易かっただろう。
<これからの性能はアプリケーション性能(並列性能)>
そして、私も正直理解していなかったのが、Application Performance Classである。これの速度保証は、10MB/sしかない。そのため、C10と混同してしまう人も少なからずいるようだが、全然違う。これまでの規格はSpeed Classである。それに対して、Application Performance Classはパフォーマンス(性能)クラスという名称になっており、それで最低10MB/sを保証する。
これがやろうとしている10MB/s保証は、いわゆるソフトウェア1本当たりの帯域保証に近いことだ。実際には、現状では、まだそこまで保証できないので、明確にそれを示している訳では無いが、主にAndroidや特殊カメラの運用において、同時に複数の書き込みが合った時に、それぞれにロードバランスとして10MB/sの帯域(例えば2つのアプリなら20MB/s)が確保できることを目標にしているのがこれだ。
そのため、インターフェースバスは最低でもSDR50~104が使えるUHS-Iでなければ厳しいだろう。
また、これに対応した環境はファームウェアやOS側でも、その動作を確認する仕組みが搭載されていることがある。
そして、使うメディアは、A1ロゴの入ったSDカードやmicroSDカードとなる。これは、最小でもU3(UHS Class 3)のメディアになるだろう。
というわけだ。元々はGoogle AndroidやWindowsなどのOS環境で、SDメディアにプログラムや動画を保存する際、快適に動作するようにと定義されたものである。そのため、規格として大事なのは、帯域保証の10MB/sよりも、IOPSの保証や、コマンドセット保証(A2で策定)の方なのだ。
まあ、スマートフォンにおいては、日本はAndroidよりiOS(iPhone)利用者が多いので、知る必要もないという人も多いかもしれないが、Android使いの人は覚えておくとよいだろう。尚、現時点ではA1やA2対応を明記したメディアは少ない。
<SDカードも変わり続けるが、長くなるほど複雑になる>
このように見ていくと、SDカードも最初の頃に比べてずいぶんと速度は上がり、コマンドセットを増やしたり、キャッシュを増やして性能を上げようという取り組みが進んでいる。UHS-III(FD624)に至っては、eMMC5.1(HS400)より高速である。まあ、バスコストとコントローラーの消費電力が高いので、スマホなどでは使われないが、急速に全方位で性能を上げているのが見て取れる。
<基準のあり方は大事だが……>
しかし、消費者がそれをしっかり把握しているかは、微妙なところだ。規格もスピードクラスを一度整理でもした方がよいのではないかと思えてくるほど変化しており、それが結果的にどういう媒体を買うべきか、どういう装置が搭載されているかを把握することを難しくしてしまっている印象も受ける。
ただ、容量だけで見れば、SD、SDHC、SDXCと簡単だが、速度になると複雑なのはこのところのストレージデバイスに見られる傾向だろう。SATAの頃は、世代が上がる毎に速度が上がったが、PCIeベースのNVMeやM.2になってからは、微妙になった。UFSといっても、UFS1.0と2.0、2.1で速度が違うが、UFSにはレーン数という概念があり、1レーンと2レーンでは1世代の差なら理論上の最大速度は、前世代の2レーンの方が高速になる。(平均速度は、新しい世代の方が速い)
と、最近は複雑化の一途を辿っている。規格を作る時間より、よりどこよりも早く優れたものを出すのは、よいことかも知れないが、指標をある程度固めて、スペック上の進化を見せた方が買替えなどに繋がるような気がする。
しかし、SDカードは安くなったものだ。昔は16MBでも結構なお値段で、スマートメディアでいいじゃんと思っていたが……今では128GBのMicroが数千円で買える。SSFDC時代のスマートメディアでもメガバイト単位で記録できる凄いメディアだと思ったが……あの頃の自分にこの爪の先ほどの中に128GBデータが入るんだと言えば、何を寝ぼけているんだと言って、ゴミ箱に捨てられることだろう。容量は、分かり易いが、速度はなんとも分かり難い。
一度整理して、最初に使っていたClassをRe(new) Speed Classにでも統一し、Application Performance Classも全てそれで示した方が良いんじゃないだろうか?これならロゴもR1~R90ぐらいに統一できるだろう。アプリケーション性能を示す定義は、アルファベット速度の後ろにR10A、R10Bなどでも付ければ、速度の進化とホストの進化を一度に表現できる。
まあ、こういう規格整理は多くの賛同メーカーを纏める必要があるので、時間がかかり難しいのかもしれないが……。長く使えるリビジョンやバージョンを使う方が消費者は変化をしっかり認識出来るだろう。Intel Coreのように、大した進化もないのに世代番号が増えてはいけないが……
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