英LCC破綻、全便キャンセルで11万人が帰国できない恐れ……手順を踏めば帰国できます。

CNNや英BBCが伝えているニュースだが、Monarch Airlines(モナーク航空)が破綻したようだ。
内容によると、今後のフライト予定は全てキャンセルされ、ここで航空チケットを取った11万人の帰国が不能になるようだ。JALがもし政府に救済されずに破綻すれば、こうなっていたということである。

これほどの影響がある航空会社が破綻するのは、珍しい。
ちなみに、これらの救済に必要なコストは、6000万ポンド(凡そ90億円)とされるようで、主に欧州域内の旅行客がこれによる打撃を受けたようだ。
http://www.bbc.com/news/business-41477267
https://www.cnn.co.jp/business/35108117.html

BBCでは、米国のテロとこれが大ニュースになっているあたり、事の重大さが分かる。

ちなみに、この航空会社は、元々はLCCではなく普通の航空会社だった。2008年に業態を格安にシフトしたのだが、その後、2年ほどで損失が発生。その後は、燃油コストの増加や、景気低迷もあり苦しんでいたようだ。
業績不振が表立って出たのは、2016年9月である。その後1年間は投資系ファンドの支援があり、何とか用立てたが、今年9月に再び信用問題が発生、イギリスにおけるAir Travel Organisers' Licensingと呼ばれるツアーライセンスが、10月1日に失効し、そこから10月3日の最終便を持って債務管理(整理)の対象として凍結されたようだ。

尚、航空チケットを買っている人の帰国費用90億円は、基金(航空信用基金)によって全て補填されることになっており、混乱で取り残される心配はないようだ。

即ち、日本の粉飾旅行代理店、てるみくらぶと比較してはいけない。


しかし、2008年にLCCにというのは、リーマンショックの影響だろう。そして、その後の経済不振がよりこの会社を苦しめてきたこと。景気が良くなっていくなかでも、戦争やテロといった地政学的リスクによって、一部ドル箱路線の航空チケットが売れなかったことも響いていたようだ。

これは、既に日本でも他人ごとではない。北朝鮮との緊張が激化したり、戦争になれば、中期であろうが短期であろうが、日本が海外から見れば、日本で言う渡航禁止区域や渡航延期区域になる可能性はあるからだ。実際、原発事故と震災ではそれが起きてしまった。既に忘れている人も多いが……。


他のLCCがこういう事態になるかというと、たぶん財務状況が公開されている会社で赤字がないなら、問題はないだろう。むしろ一社整理されれば、改善する企業もあるかもしれない。ただ、このところLCCの欧州での破綻が増えているのは確かだ。地政学的リスクと経済問題などから、債務が重なっていた企業が今、整理される時代に入ったようだ。

日本ではこの手の中距離会社で大きな会社はない。ただ、あった場合、何万人に影響するから、潰せないとか、そういう話が真っ先に出てくるような気がする。









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