北朝鮮、新型中距離弾道ミサイル実戦配備を指示……武力による武装解除の機会を逸したか?

国際社会は国連の緊急会合ばかりを毎回やっているが、既に制裁措置は徹底しているはずであり、中国とロシアが動かない限り、厳しい。中国が動いても、ロシアが擁護し、ロシアが動いても中国が擁護する北朝鮮は、完全に火の付いた導火線になろうとしている。それは既にどの国も認識している事実である。

今の流れでみると、北朝鮮は民主国家ではないため、トップ一人の判断で戦争をすることも、平和を掲げることも出来る訳だが、その一人が、粛正を未だに続けるような人だから、タチが悪い。国際社会がどうするかが求められる。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052200182&g=int
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017052200212&g=int

だが、現実にそれをどうにか出来るかというと、相当難しいようだ。

まず、今回の北極星II型ロケットの射程だが、
試験では500km程しか飛んでいないが、推定射程は1,200 km~3,000 kmの範囲とされる。即ち、最小でも1,200kmほど飛び、場合によっては最大で3,000km近い距離飛ばせるかも知れないということだ。
元々は、SLBM(submarine-launched ballistic missile/潜水艦発射弾道ミサイル)としての利用を想定して開発されたI型を、地上配備型に転用したものとされる。そのため、圧縮ガスを用いたコールドランチングと呼ばれる垂直発射仕様を地上用に転用している。固体ロケットブースターを使うため、発射準備に時間を要しない。そのため、移動発射台が利用できる。また、短期間での作戦行動が可能など厄介な仕様となっている。

本当は、配備を指示する前に、終わらせるべき国だが……出来なかった。


<戦争は出来ない米国と韓国>

当初は、戦闘へと動くかとみられたトランプ政権だが、結局動かず北朝鮮を刺激しただけに終わったのは、何らかの作戦というよりは、政権のミスだろう。トランプ氏は、ビジネスマンの様相が強いようで、さっと動くが、確認を怠る傾向があるようだ。FBIの長官解任といい、最初から失策だと分かっていることでも、思い込みからやってしまう人のようだ。残念ながら、この人政治家には向いていない。

今のトランプ政権は、あと一つの何かがなくても、弾劾に追い込まれる恐れがあり、戦争など出来る状況にない。戦争をやったら、間違いなく武装解除までに被害が出る。政権は終わる可能性が高いだろう。
また、北朝鮮が今回のミサイルを実戦配備すると仮定した場合、既にこのミサイルは相当程度の量産が始まっている可能性があり、戦争になれば最悪の結果を招く可能性が否定できない。相次ぐ発射実験が出来るということは、既に相当数の製造を継続して行っているということだ。今の日本や米国のような安定した状況にない国では、基本的に配備=量産中で既に、準備が整ったものが相当数あるという場合が多い。戦中の日本でもやっていたことであり、米国でもやっていたことだ。

CIAなどはその辺りも既に、米政権側に報告しているはずだ。突然米国が方向性を変えて対話のチャンネルを開いたのは、そういうのが見えたからだと思われる。米国務省はそれを本当に懸念しているようでもある。


まあ、日本政府はそういう懸念を示してはいるが、国民にはそういう発想はないようで、きっと戦えばすぐに解体できると思っている節がある人が多いのは少し怖いところだ。

戦力を持っていた場合は、今の日本だと戦争だーという人もいるかも知れないし、北朝鮮など一瞬でおとせるぞという血迷った人も出てくるだろうが、平和ぼけ国家は机上の戦力が勝利の条件だと思っている辺りが厳しい。こういうのは、緊張状態で暴発すると、暴発した側が責を負う。核をもつ国で尚且つ、使う可能性がある国に対して、先制で攻撃して、核を使われた場合、相手を降伏させて占領しても、結果的に攻撃された韓国や日本にも支援しなければいけないわけで……。例え悪の枢軸として、倒しても結果的にどちらが勝利したのかは分からなくなる。やるにしても、北朝鮮側が先に何かしたという十分な理由が必要なのだ。

まあ、何より、そんなに簡単に戦争や紛争が終わるなら、シリアの戦闘はもう終わっている。イスラエルとパレスチナもそうだ。ベトナム戦争は泥沼だった。南スーダンもそうだろう。

だから戦争は避けねばならないという流れになる訳だが、トランプ氏はそれが分かっていなかったから、戦争になりかねないという懸念が一気に広がったのだ。

武器などと言うものは、どこからか流れてくるものだ。戦時景気を売りにするブローカーは世界には沢山あるからだ。だからやると決めたらさっさと動くのがベストだが、短期でやるべきことを躊躇してしまうと、相手の準備がある程度行われるため、出来なくなる。

今回米国がシリアにミサイル発射したあとに、打撃軍を、北朝鮮に回したと発表したのは拙かった。すぐに戦闘に移るなら別だったのだろうが、何も動かず睨んだだけに終わったことで、北朝鮮が技術開発を加速して進める理由を作ったことになる。そして、世界が動けないことを見透かされてしまった。

そして、北朝鮮は戦力を持ちたいと本気で思っているから、対話のチャンネルを開いてものってこない。最悪の流れである。


<戦争になれば、日本に攻撃があることは覚悟した方がよい>

現実的にいえば、開戦となれば、韓国はもちろんだが、日本にもリスクは飛び火する。今回の中距離弾道ミサイルが実戦配備に動いた流れからみれば、既にプロトタイプも数が相当程度あると思われる。数発動時発射の実験も行っていることを考えると、日本や韓国の被害なく落とすのは不可能と見るのが妥当だろう。

その矛先になり得るのは、大都市圏、原発のある地域、軍事基地がある場所だろう。東京を狙われれば、関東広域圏だけで、日本の総人口の1/3が住んでいる訳で、日本の経済力は地に落ち、一気に政治経済が破綻するだろう。テレビ報道では、基地などとよく言うが、実際に戦争を指揮する軍隊が狙うのは、基地よりも敵の中枢がある場所だ。ソウル特別市と東京だろう。あとは、中国を加えるかどうかだ。


中国も既に攻撃の狙いとされている。日中韓がもし被害を受ければ、世界の経済バランスが大きく変わる波乱の世になりかねない。核でも使われようものなら、軍需景気どころか、今後数百年、数千年住める地域が地上から減ることになり、損失の方が大きくなるわけだ。昔のように、戦時景気で戦後復興もあり、経済が成長するみたいな流れは、現在の戦争においてはほぼない。特に、核戦争になると滅びのまじないみたいなものだ。

だから、緊張は増しているというが、実質もう緊張というラインから外れつつある。よほど、北朝鮮が何らかの内部事情で早急に動くか、または米国や韓国が暴発しない限り……


<最終的に認めざる終えない世界>

もう、今の流れでは、最終的に世界は北朝鮮の核を認めることになりそうだ。軍事介入して落とすような状況になるとすれば、北朝鮮が暴発した時と、トランプ氏が動いたときだろうが、トランプ氏が動くには既に、政権基盤が足りない。その上、機密情報の漏洩や失言がトランプ氏には多すぎて、足を掬われる恐れもある。

もちろん、北朝鮮の先制攻撃であると言えるだけの口実が出来れば別だろうが、それがなけれえば結果的には、指をくわえて開発の風景を見ているしか出来ないのが、現実であろう。


それでも、戦闘や戦争を望むのかということになる。それを望むなら被害の覚悟は必要だが、そういう雰囲気はない。一部のネットコメントは、過激だが……。まあ、国際社会として、北朝鮮の行為を認めることは今後もないだろうが、既成事実化は今後も進むだろう。それを止める手段も今や、犠牲者や汚染が出る手段を除いては存在せず、実質手詰まりである。







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