Apple iPhone7/7Plusの仕様(6S Plus比較)
日本でFeliCa(おサイフケータイ)に対応するというのは、日本を重視する姿勢を見せているからだろう。これまでは、携帯会社の販売奨励金がiPhoneに多く支払われていた可能性が高く、それを失ったことで日本向けの専用サービスへの対応を急いでいるのかもしれない。5割以上の異常なシェアを持つ日本は、Appleにとっては失いたくない市場であるということだ。(ちなみに、世界シェアは徐々に下がり始めている)
ちなみに、グローバルでは着実な進歩を続けてはいるが、凄いユニークな機能的革新はないと言っても良いだろうが、本当に僅かずつだがAndroidを踏襲するハードウェアの機能組み込みが進む。ただ、Apple自身も今回は大規模とは思っていないようだ。しかも、大きくデザインを変える(曲面デザインを採用する)とされている。まあ、来年のモデルは確実に賛否が出てくるだろうから、防水(IP67)にも対応したこの製品は集大成と言えよう。
<ハード的な唯一の欠点>
唯一欠点があるとすれば、端子系はLightning Connectorに一本化され、Stereo Miniの端子を廃止したことだろう。私はAndroidだがスマホのヘッドホン接続はBluetoothで主に使う一方で、Stereo Miniに直接刺して充電しながら使うこともある。個人的には別にLightning Connectorからの変換も出るようだが、この当たりはAppleの古くからの悪い癖である。軽くなった以外で大きさも変わっていないにも関わらず廃止したのは・・・薄型という訳でもなさそうだが・・・。兎に角、独自に拘り、ちょっとしたところで無駄なパーツを買わせてコストが掛かる。下手をすれば、Lightning Connectorも世代交代して端子形状が変わる可能性もあり・・・その変換がいつまで使えるか・・・。結局、コネクター機器が一通り売れてサプライが売れなくなったら、端子を変える傾向があるので、そこが怖い。
出来が良いのだが・・・iPhoneにヘッドホンを繋いで音楽を頻繁に聴く人の場合は、将来的にここが地雷になる可能性はある。常にBluetoothで使うなら文句はない出来だろう。
では、比較をしていきたい。今回は表では原則6Plusのみと比較する。
ブランド名 | iPhone7 Plus | iPhone 7 | iPhone6S Plus(参考) |
モデル種別 | A1661/A1784 | A1660/A1778 | A1633/A1687 A1691/A1700 |
OS種別 バージョン | iOS10 | iOS10 | iOS9 →iOS10 |
SoC Name | Apple A10 Fusion APL???? | → | Apple A9 APL1022 |
CPU1 CPU2 クロック周波数1 クロック周波数2 総コア数 | Big Core Dual Little Core Dual 2.3GHz? 不明 4コア(2+2)GTS | → | Twister Core Dual - 1.84GHz - 2コア |
RAM | 2GB(LPDDR4) | → | → |
ROM (ストレージ) | 32GB 128GB 256GB | → | 16GB 64GB 128GB |
GPU Unit Num API OGL API OGLES API OCL API DX3D API DX3DFL | Custom GPUかも? | → | PowerVR GT7600 6 3.3(4.3) 3.1+AEP 1.2(FP) 10.0 10.0(11.2) |
ディスプレイ サイズ 解像度 DPI/PPI タッチスクリーン 強化パネル コントラスト比 | IPS LED Retina HD 5.5インチ 1920×1080 401ppi 3D Force Touch イオン強化/傷指紋防止 1300:1 625cd/㎡ | IPS LED Retina HD 4.7インチ 1334×750 326ppi 3D Force Touch イオン強化/傷指紋防止 1400:1 625cd/㎡ | IPS LED Retina HD 5.5インチ 1920×1080 401ppi 3D Force Touch 傷指紋防止 1300:1 500cd/㎡ |
メインカメラ(背面) 画素数 センサー種別 F値 解像度 動画解像度 最大フレームレート 手ぶれ補正 ズーム※1 レンズ群 フラッシュ 特記事項 | ExmorRS×2かな? 12.19MP ExmorならIMX315×2? F/1.8とF/2.8 4032×3024 3840×2160 720p/240fps 光学デジタル併用 疑似光学ズーム(2倍) デジタル(5倍) 6 Element Lens 4 LED 2カメラ構成 | Exmor RS? 12.19MP Exmorなら IMX315×2? F/1.8 4032×3024 3840×2160 720p/240fps 光学デジタル併用 - デジタル5倍 6 Element Lens 4 LED 1カメラ構成 | Exmor RS 12.19 IMX315 F/2.2 4032×3024 3840×2160 720p/240fps 光学デジタル併用 - デジタル5倍 5 Element Lens 2 LED 1カメラ構成 |
自撮りカメラ(前面) 画素数 センサー種別 F値 解像度 動画解像度 | BSI CMOS 7MP BSI CMOS F/2.2 不明 1920×1080 | → | CMOS 4.92MP CMOS F/2.2 2560×1920 1920×1080 |
DSP/Sensor | Apple M10 | → | Apple M9 |
LTE L1 Down/up | Cat.9 452.2Mbps/51Mbps | → | Cat.6 301.5Mbps/51Mbps |
Wireless LAN (Wi-Fi) | IEEE802.11 a/b/g/n/ac | → | → |
Bluetooth | 4.2 | → | → |
NFC/FeliCa | ○/○ | → | ○/× |
ラジオ/ワンセグ/フルセグ | ×/×/× | → | → |
高度認証機能 | 指紋認証 | → | → |
方位位置センサー A-GPS GLONASS Baidu Digital Compass | ○ ○ × ○ | → | → |
環境センサー 光 加速度 圧力/気圧 ジャイロ 近接 磁気 | ○ ○ ○ ○ ○ | → | → |
USB端子 | 2.0 Lightning Connector | → | → |
スピーカー | ステレオ | ステレオ | 拡声スピーカー |
ヘッドホン端子 | なし | → | ○ |
防水 | IP67 | → | ×(公式にはなし) |
バッテリ容量 バッテリーの取り外し ワイヤレス充電 通話時間(3G)※3 受待時間(3G)※3 通信時間 | 2810mAh? × × 21時間 384時間 | 1960mAh※2? × × 12時間 240時間 | 2750Ah × × 24時間 384時間 |
サイズ 重さ | 158.2×77.9×7.3 188g | 138.3×67.1×7.1 138g | 158.2×77.9×7.3 192g(6Sは143g) |
色選択 | 4色 Black(黒) Silver(銀) RoseGold(光沢ピンク) Gold(金) | 4色 → | → |
※1 疑似光学は2つのカメラのレンズ角の違いを利用したもの。撮影時に広角側を1倍として、望遠?のセンサーを2倍相当としている。レンズが動いてズームする訳では無い。デジタルと併用すると10倍相当になる。※2 6Sは1715mAhだった。※3 国内のキャリア向け仕様ではないので注意、あくまで目安。*赤字は、強化点、青地は廃止など機能低下点、→は同一点
<バランス良く強化された製品>
これでも、マイナーと呼ばれるのは、OS側やハード側に新しい特筆すべき改善点がないからだ。何か凄く新しい提案をしているわけではないからだ。
ちなみに、SoCはApple A10 Fusionに更新され、遂に4コア(2Clusterと思われる)のGlobal Task Scheduling(Big.LITTLE)へと進化した。ただ内蔵GPUはこれまでの、Imagination Technologies社のPowerVRなのかは今の所不明である。自社開発をしているという話は以前から出ていたため、自社に切り替わっていてもおかしくはないが、どうもGPU情報がこれまでにはないほど、少ない。そのため、分からなかった。分かったら追加する。
カメラはメインカメラが2カムで、2つのカメラが別々の焦点を持つことで、光学2倍ズーム相当の機能として働く。レンズは6群で1群増えた。レンズカバー層にSapphire Glassをこれまで通り使っている。このカメラが最も特筆すべき進化かも知れない。
後は、ディスプレイ輝度が地味に強化されたこと。スピーカーがただの拡声からちゃんとしたステレオスピーカーになったことなど、本当に地味に一歩一歩進んでいる。
<堅実で確実な強化>
日本では、Androidのハイエンドにおける機能の統一性(例えばApple対抗になり得る置くだけ充電やバッテリの交換などはほとんど採用されていないなど)が、維持できていない中で・・・もうかなりiPhoneがAndroidのアドバンテージを埋めつつある。
いまAndroidが持っているアドバンテージは、自由なユーザーインターフェースの開発、ワイヤレス充電(一部機種のみ)、耐衝撃モデル(一部機種のみ)、ラジオ/ワンセグ/フルセグチューナー搭載(一部機種のみ)といわれる。
今回、FeliCa対応が埋まり、さらに防水性能がついに保証レベルに達したことで、後はグローバルではワイヤレス充電を残す程度である。日本では、そこまでいけばAndroidは本当に厳しくなりそうだ。ちなみに、海外では自由度のないUIの評価がAndroidより悪い。そのため、シェアは今後もさほど伸びないだろうが・・・。日本では真逆でメディアを中心にUIの統一性を評価している。まあ、最初からiPhoneの人が多く、基本的にiPhone対Androidの記事が多いからだろう。
尚、これを調べていて、Plus(4.7インチの7は6S と同じ)に関してのみバッテリ容量が上がったと思われる割に3G通話の電力特性が落ちている。微々たるものとは言えるが、これもちょっと気になった。
スペックだけで見ると、やはりiPhoneはちゃんと進化が実感できるように変化している。それが、小気味よい。日本のAndroidメーカーにはこれこそハイエンドだと見習ってほしいものだ。ただ、一方で、ヘッドホン端子の廃止は、残念ポイントである。ワイヤードで音楽を聴く人は、Bluetoothなどワイヤレスに移行した方がよいかもしれない。そして、iPhone6や5系から移るならこれは、最後のIPS液晶を搭載した既存デザインのハイエンドとなる可能性もある。特別な機能の新しさより、今の使い勝手の延長線にある製品を求めるなら、今後の製品レビューなどをみつつ、この世代の間に買い換えを検討した方が良いかもしれない。
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