MWCで新機種続々登場・・・プロセッサが多すぎて困る人のためのスペック表
MWC 2016でバンバン登場する新製品だが・・・正直、後から後から登場するので、埋もれていくような気もするが・・・。ちょっとずらして発表した方が実はインパクトが大きいのではと思うのは、私だけだろうか?ASUSがZen Pone Zoomなどで結構なインパクトを日本だけでなく海外にも与えたが、そういう売り方はとても大事である。
今回はとりあえず発表された製品のプロセッサブランド同士の違いを書いておく。これを読めば粗方のスペック傾向が読み解けるだろう。正直最近はQualcommも派生モデルをバンバン増やしているので、どれがどれやら分からなくなる頃である。ただ、それでも特筆すべきはSnapdragon 820のCPUベンチマークの結果が正しいのであれば、これは化け物だということだろう。Adreno530は流石ATIから買収した技術だけあり、一日の長があると言えよう。ちなみに、Andreno510のスペック情報の多くはまだはっきりしない。?の部分は間違っているかもしれないので注意して欲しい。また、Unit Numは同じブランドラインでは性能の指標になるが、MidgardとQ-USM5では比較できない。この点も気をつけて欲しい。FPU Peakは物理演算の最高性能(端数を少し切り捨てているが)である。また、ここに記載のスペックは最大値となる。一部機能は無効化も出来るため注意して欲しい。
開発元 | Qualcomm | Qualcomm | Qualcomm | Samsung | MediaTek |
SoCモデル名 (チップセット) | Snapdragon 820 | Snapdragon 650 | Snapdragon 617 | Exynos 8 Octa | Helio P10 |
型番 | MSM8996 | MSM8956 | MSM8952 | Exynos 8890 | MT6755 |
CPU1 CPU2 CPU1コア数 CPU2コア数 | Kyro-big※1 Kyro-Little※1 2 2 | Cortex-A72 Cortex-A53 2 4 | Cortex-A53 ー 8 ー | Exynos M1 Cortex A53 4 4 | Cortex-A53 ー 8 ー |
クラスタ数 総コア数 最大周波数1 最大周波数2 GTS Boost | 2※1 4(Quad) -2.2GHz -1.5GHz ○ ○ | ー 6(Hexa) 1.8GHz 1.2-1.4GHz ○ ○ | ー 8(Octa) 1.5GHz ー | 4かな? 8(Octa) 2.3-2.6GHz -1.6GHz ○ ○ | ー 8(Octa) 2.0GHz ー |
最大RAM 種別 周波数 バス幅 帯域幅 | 4GB* LPDDR4 1866MHz 32bit×2 29.8GB/s | 4GB LPDDR3 933MHz 32bit×2 14.8GB/s | 4GB LPDDR3 933MHz 32bit×2 14.8GB/s | 4GB LPDDR4 1800MHz 32bit×2 28.7GB/s | 4GB LPDDR3 933MHz 32bit×1 7.4GB/s |
GPU Shader Unit 周波数 最大周波数 Unit Num FPU Peak | Adreno 530 Q-USM5 650MHz 730MHz 256 588 | Adreno 510 Q-USM5 500MHz? 600MHz? -128? - | Adreno 405 Q-USM4 550MHz 550MHz 48 59.4 | Mali-T880MP12 Midgard 4 650MHz 700MHz 12 346.8 | Mali-T860MP2 Midgard 4 600MHz 700MHz 2 47.6 |
API_Support OpenGL OpenGL_ES OpenVG OpenCL DXD_3D DXD_3DFL Vulkan※3 | 4.x相当※2 3.2 Ready 1.1 2.0 12.0 12.1 Rev.1 | 4.x相当※2 3.2 Ready 1.1 2.0 12.0 12.1 Rev.1 | 4.x相当※2 3.1 1.1 1.2FP 11.2 11.1 Rev.0 | 4.x相当※2 3.2 Ready 1.1 1.2FP 11.2 11.1 Rev.0 | 4.x相当※2 3.1 1.1 1.2FP 11.2 11.1 Rev.0 |
Video Enc H.264 H.265 | 2160p 2160p | 1080p 1080p | 1080p 1080p | 2160p 2160p? | 1080p ー |
Video Dec H.264 H.265 | 2160p 2160p | 2160p 2160p? | 1080p 1080p | 2160p 2160p? | 1080p 1080p |
Camera ISP 対応カメラ数 画素数 | Spectra ISP 3 25MP | Dual ISP 2 21MP | Dual ISP 2 21MP | Dual ISP 2 21MP | |
DSP 周波数 Modem | Hexagon680 1GHz Q-MDM | Hexagon546 Q-MDM | Hexagon546 Q-MDM | On Chip? | On Chip RF On chip |
Storage Class USB Host SD Host UFS | eMMC5.1 3.0/2.0 3.0 UHS-I 2.0 | eMMC5.1 2.0 3.0 UHS-I | eMMC5.1 2.0 3.0 UHS-I | eMMC5.1 2.0? 3.0 UHS-I 2.0 | eMMC5.1 2.0? |
無線LAN LTE Bluetooth | 802.11ad Cat.12 or 13 4.3 Ready | 802.11ac Cat.7 4.1 | 802.11ac Cat.7 4.1 | 802.11ac Cat.12 Or 13 4.2 | Cat.6 4.x |
センサーユニット | IZat8C | IZat8C | IZat8C | ||
搭載機器 ソニー | Xperia X performance | Xperia X | Xperia XA | ||
搭載機器 サムスン電子 | Galaxy S7 Galaxy S7 Ege | Galaxy S7 Galaxy S7 Edge | |||
搭載機器 LG | LG G5 | ||||
搭載機器 HP | HP Elite x3 | | |||
搭載機器 マウスコンピュータ | 第2世代 MADOSMA | ||||
搭載機器 Elephone | Elephone M3 同P9000 | ||||
搭載機器 シャオミ | Redmi Note 3Pro |
※1 Kyroは2コア設計となっている。周波数の高いBigコアとLittleコアで構成され、それを2クラスタ化したものが、Snapdragon 820である。クラスター数は2、コア数は4という構成になる。電源管理はKraitと同様にそれぞれのコアに対して、詳細な動的コントロールが可能とされる。※2 対応は不可能ではないはずだが、動作には対応ドライバの開発が必要と思われる。 ※3 Rev.0は対応ドライバ提供、Rev.1は1.0に対応して出荷。*もしかすると8GBでもいけるかも?
<SoCで方向性と機能性が決まる>
上記を見て、各社のスマホを見ると、よく似た製品が並んで見えるのは、気のせいではない。例えば、MSM8996は多くの機能を持つハイエンドに使われるが、それを搭載すると無線LAN(Wi-Fi)チップや、通信モデムも似通ったものになりがちである。Zen PoneがQZSS(みちびき)に対応していたが、Snapdragonでは対応していない。即ち、日本のスマホなのに、みちびきが使えないという明後日な話になるのも、そのためである。まあ、それが悪いか良いかは別として、スタイルとしてみるとどのメーカーも似た機能、似た性能になる。ハイエンドほどその傾向が強いのは、やはりQualcommブランドの強さである。そういう点では、ASUSはx86もハイエンドで提供しており、直接勝負をしない辺りが、昔の日本メーカーのようだ。国内外で市場を取っている理由かもしれない。
廉価な製品は、MediaTekのような中華系が使われる。これだけでも、2年3年前のハイエンドスマートフォン以上の機能性をSoC内に備えているため、安く買うだけならこれらでも十分である。正直4Kなどいらない。ゲームもしないなら、MediaTekブランドでも十分だろう。SamsungがExynosを開発した理由は、単純に差別化と思われる。SoCが同じだと結局違いが出にくい。だから、SoC開発をして差別化をしようとしているのだろう。ただ、Snapdragon 810の頃は810が発熱で酷評され、Exynosが評価されたが、820では逆にSnapdragonの方が性能をしっかり発揮しそうな予感がするため、なかなか自社開発のコアというのを売るのは難しいだろう。
<スマホも既にコモディティー化>
スマートフォンはもうコモディティー(日用品)化しており、差別化といってもここまで普及すると、高価なモデルはなかなか売れなくなる。なんせ、廉価製品でも十分な性能を持つようになっているからだ。リアルタイムで超高画素な3Dゲームでもしない限りは、Snapdragon 650で十分な性能を発揮するだろう。820のAndreno530に至ってはバス幅こそ狭いが、ハイビジョンで高精細なゲームが出来ると売り出したPS3向けGPUより2倍以上演算性能は高いわけだ。まあ、このクラスが数年で600番台に降りてくるかは最近の傾向を考えると微妙だが・・・もう、普通に使うだけならこんなにスペックはいらないということだ。
本来は、この性能を生かす何か提案があれば、買い替えたくなる人もいるだろうが・・・。電話に、電話帳、メモ帳、音楽プレーヤー、携帯ビデオプレーヤー、ビデオレコーダー、カメラ、ビデオカメラ、体組成計(一部機種のみ)、気温、気圧計(一部機種のみ)、カーナビ、パソコン相当のブラウザ、メールやソーシャルサービス投稿閲覧などのインターネットサービス・・・などなどが一つになった今、これにさらに何を与えるのか何を足せば売れるのか・・・そもそも、プロセッサ性能を活かせるビジネスがあるのか・・・なかなか見つけるのは難しい。私が思うには、Snapdragon 820などのプロセッサはスマホ以外の使い方をしたときに、もっと凄い価値が生まれそうだと思うが・・・。スマートフォン中心なのが勿体ない。
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